2009年5月31日日曜日

Columbus Park & Wrentham Outlet mall

日本人の野球チームにお誘いがあり、Columbus Parkへ。試合の数合わせに誘われる、よくあるパターン。日本人だけでも10チームあって、秋には対抗戦もあるそう。日本にもこんなに野球好きがいたっけ?と思うほど盛況な競技人口だ。試合の方は人が足りたようで、軽くキャッチボールした後は、ご家族で来ている方とピクニックを決め込むことに。穏やかな天気で、ボストンの今は最高にピクニック日よりだ。ランチなんか芝生に広げて食べて、そのままずっと昼寝したいほど。
コロンバスパーク:


昼寝を我慢して、Wrentham のPrime Outlet Mallへ。93 South, 95 South, 495 "North"でボストンからは1時間かからない。お目当てはルクルーゼの鍋だった。モールにルクルーゼの専門店が入ってるのは、CAやTXでは無かったと思う。聞くところによると、ダウンタウンのTJMAXの方がセール品で安い物もあるそうだ。実際、モールの中でも、専門店よりWilliam Sonomaの方が安くてそちらで買った。時間が短い割りには、靴やかばん等、アメリカブランドを何箱か買いこんでしまった。日本の軽井沢や幕張のアウトレットと比べても、かなり安いものもある。

夜は、日本人の同級生とともに、一つ上の年次のクラスの方々の送別会。先輩方は、同じ1年間でもそれぞれ全く違う取り組みで充実して過ごされたようだった。(本当にお疲れ様でした、ご卒業おめでとうございます。) パーティの後は、Wholefoodsで来週分の食材の買い込み。家族がパン焼きに挑戦する材料や、コーヒー用のフレンチプレスなど、ボストン生活も少しづつ潤いが出てきた。

2009年5月30日土曜日

ボストン日本人研究者交流会

ボストンでの初めての週末。色々とイベントにお誘い頂き、日本人コミュニティの交流会に幾つか参加した。Edgertonで行われたお昼のBBQパーティでは、MITの学生や企業派遣のVisiting Scholorの方々と知り合いになれた。Media Labの最近の興味ある研究内容について話したら、偶然にもその研究を進められた方だったので、統計値の考察をお聞きできた。日本企業からMITへの研究費・研究者の受入は不況の影響で減りつつあるようだが、お会いしただけでも相当の日本人研究者がMITに滞在している。企業派遣の研究者は、1年間で来ている方が多く、成果を出すのは大変だろうなと思う。共同研究成果のパテントの扱いも学部によって違うようで、こういった企業間の情報交流の場は貴重だと思った。ご夫婦で来られている方もいて、鮮度のいい魚が仕入れられる時間帯から、おからをタダでもらえる穴場情報(&1ヶ月飽きずに食べる方法)まで、ボストン生活をenjoyされているようだった。

BBQの後は、日本人研究者交流会を聴講した。この研究会では、ボストンに滞在する日本人の方が持ち回りで発表している。1つ目の講演は、政府派遣のHKSの方より、最近のエネルギー情勢をテーマに、主に資源安保・外交の視点から日本のエネルギー政策の基本的な考え方をお話された。原油一極集中からバランス化、資源外交の戦略的運用、高速増殖炉の実用化などは、10年前に大学の授業で受けた講義と、ポリシの根本は不変だ。しかし、資源権益者としての中国の台頭や、資源国としての中央アジアの重要性など、舞台とプレーヤが変わっている。Q&Aでは、権益獲得における政府の役割の必要性について質問があったが、多くの資源国では資源権益を一部の関係者が握っており、見返りに経済支援や産業協力をパッケージに交渉されるため、商社やメーカが私企業の立場で交渉するのは骨が折れるとの回答で、納得できた。資源獲得の膨大なコストを考慮すると、代替エネルギーさらには夢の高速増殖炉という戦略オプションは、実用性は未確立でも大事な手札だろう。今後、米国での原発解禁に向けて、日本の重電メーカの海外進出が急速に進んでおり、優秀な人材がこの分野に集まって何か新しいトレンドが生み出されるかもしれない。

2つ目の講演は、Harvard Education Dept.とTuck MBAの方による、Teach for Americaの日本への展開について。Teach for Americaは私は初めて聞いた。全米の公立学校の地域格差の解消の為、ハーバード卒等の優秀な学生を学校に送り込むNPOである。教育NPOとしては先日、日本で講演を聴いたRoom-to-readがあるが、やっている中身は違うものの、予算構成やfund raisingのマーケティング手法は近いものがあった。日本への導入手法については、質疑応答では喧々諤々といった感じだった。教育の話はどこで聞いても、個人の実体験をベースに、皆が思い入れを語り出す傾向が強い。ところで、このNPOが解決したい問題の本質は、公立校の地域間格差の解消のようで、まずは英語の夏合宿から始めるという入り口は悪くなさそう。ただ、肝心の公立学校側に危機感が無いのに、受け入れ態勢を整備させるステップは厳しそうだ。私が寄付集めに関わるNPOでは、地方の埋もれた異才を集めて数学の夏合宿をするもので、同じく学生ボランティアを動員して運営まで携わる。本来、小回りが得意なはずのNPO自身が運営までコミットすると非効率だし、スケールアウトが難しい。Room-to-readとTeach for Americaのやり方がうまいのは、運営の困難さは受け入れ側の学校なり政府に負担させて、本や先生を送るアレンジだけに特化している点だろう。戦略コンサルの多いMBA出身者が立ち上げたモデルという共通点も頷ける。

講演の後は、近くのホテルで懇親会。これがまた多士済々で面白かった。ハーバードメディカルやMGHのお医者様もいて、こんなに医学が進歩してるんだと驚くような話もあり、また、よく聞くと起業からExitに成功した凄いキャリアの人とも飲みかわし、さすがにハーバード、MITの人の集まる会だった。また参加しようと思う。

2009年5月29日金曜日

日用品の買い物

ボストンでの買い物が続く。全米チェーンのBestbuy, Wholefoods, Targetは、Everywhere USAの代名詞。どの店も同じ品揃えの分だけ、探し物が効率的というメリットは大きい。
一方、ローカル店はどこも個性的。まずはボストン日本人コミュニティでは定番のReliable Marketから。韓国食材・日用品のお店で、日本の食材も少し高めだが結構ある。MA-28からSomerville Rdの先に、国際的なお店が並ぶUnion Sq.に出ると、Reliable Marketは、韓国系のお店が入るビルにある。噂のにおいは強烈だったが、品揃えは野菜、肉、海鮮からお菓子、インスタントまで豊富だった。前の駐米は単身だったので、忙しい時はカップ麺が連日続いた。先日のKoreana飲みでも食べた、調理済みのブルコギ、チャプチュェを買ったが、ブルコギはすき焼き風、チャプチュェはあっさり味のごま油控えめで、結構いけた。
次は、超級88。93 SouthからExit15 (JFK L)の先のSouthCenterの奥にある。花山椒を探しに行って、店員さんに聞いたが没有との返事だった。ゴールデンウィークの中国語の特訓のおかげか、花山椒とは何か?を片言で説明したら何とか通じた。後で中国の方によると、超級88は内装を変える前は品揃えも豊富だったらしいが、今は半分くらいになってしまったらしい。China Townの中国超市なら、調味料が揃うらしいので、今度行ってみたい。

2009年5月28日木曜日

講演: Mr. Ghosh - Making the most out of your MIT experience

はじめてのGuest Speaker招待にトライすることになり、段取りなど色々とよい経験になった。スポンサーのアーバン不動産様には、講演者との調整から当日のOrganizerまでお引き受け頂き、感謝いたします。

さて、Ghosh氏は、Sloan MBA'77の大先輩にあたり、マッキンゼー含め16年の日本でのキャリアの中で、SONYの盛田氏や多くのカリスマ経営者と直に接した経験から、リーダシップの講座を多くの大学で持つ。今回、Sloan Fellowsに入学する日本人向けということで講演をお願いしたところ、期待以上の濃い内容をお話いただいたのは、もうさすがというしかない。現代の経営環境のBig PictureからSloanでの学びを最大化する具体的な7 rulesまで掘り下げてお話いただいた。特に、ご自身がJapan as No.1の時代を日本で過ごした経験から、90年代以降の方向感を失った今の日本を憂慮され、我々が目指すべき新たなリーダ像をInspireしてくれた。

Q&Aでは、2つの点で特に議論が掘り下げられたと思う。1つ目は、90年代以降、日本人は、世界経済での相対的地位低下にともなう自信の喪失と、過去の成長体験に安住する傲慢さの両面から、世界から積極的に学ぼうとしなくなったという論点である。私が思うには、海外でないと学べないことが減った分、学部レベルの留学生の減少は自然なことだと思う。今は逆に日本について異国で情報発信することで信頼関係を築く時期に来ている。大前研一氏のように日本人が日本を語って、世界中が自然と耳を傾けた時代ではもはやないが、ボストンにいる間にJapan Conferenceのようなイベントを開催して、世界の人が日本の経営・ビジネスの何に興味があるか直接感じたいと思う。

2つ目は、新しいリーダ像として不確実な経営環境の中で複雑なDecision Makingをするために必要なスキルは、主にSoft Skillという論点である。ここでいうSoft Skillは、Leadership, communicationといった人間的なものである。直感的には、事業が不確実になるほど、現場で臨機応変にできるよう広く権限委譲された組織になるため、リーダには複雑な人間関係に配慮して力を及ぼす能力が重要になるということか。ソフトスキルの選択クラスは、即効性のある達成感が期待できなさそうだが、MBAの多くの人が勧めておりIAPなどで何コマか取るつもり。

当日の様子はこちら(アーバン不動産様のブログ5/29)
http://www.bostonfudosan.com/usr_rental/index_j.php

2009年5月27日水曜日

セットアップ&Koreana

日曜にボストン入り。JAL派の私はまたシカゴから。到着前にしきりに何か食べますか?と聞きに来るので変だなと思っていたら、ビジネスは朝食サービスを止めて、アラカルトだけになったとのこと。不動産屋さんが手配してくれたリモでホテルに入って寝るだけの一日。

翌日から、アパートに入り生活の立上げを始める。諸々の買い出しは車の機動性が一番。Harvard SQのハーツで、レンタカーを長期レンタルする。マツダ6とFord Mercuryのどちらがいい?と聞かれたので、迷わず後者をチョイス。大型セダンは、家具の調達に好都合だ。家具はレンタルでなく大型店で纏めて新品で買うことにして、MA-24 SouthからIKEAへ。ベッドだけは寝心地に拘ると近場で適当なのが無く、専門店から取り寄せに少し待つことになり、当座の寝床にAir Bed (Colemanの電動空気入れ付)を確保した。テレビなどの家電は、Cambridge GalleriaのBestbuyに。中国ブランドのプラズマ42インチがなんと$547 (1300円/inch)。部材費の限界があるはずだが、インチ1000円が見えてきたという日経エレの記事が頭によぎる。日本ブランドのLCD 40インチ($699, 1700円/inch)をお買い上げ。食卓でCNNを見ながら食事を取ると、だいぶ家らしくなった。

水曜の夜は、同級生となるSF10の日本人と韓国人の飲み会へ。Central SqにあるKoreanaというBBQレストランへ。韓国人のお任せで、ユッケ、チャプチェ、チジミ、ブルコギという王道メニューを、ビールとともに腹いっぱい食べ美味かった。今度、近くのWholefoodsの買い物ついでに、ビビンバを食べに行こうと内心思う。アメリカ国籍のJに、Pre-cource readingやった?と聞くと、Financeは4章読んだけど、ケースは今読んでも忘れちゃうからやらないとのこと。私は、readingが遅い分だけ、分厚い読み物の類は少しでも貯金を作っておきたいんだけど。

2009年5月23日土曜日

ヒルズライブラリ

明日、ボストン出発。会社の壮行会では、お一人お一人から温かい激励の言葉をもらう。浮沈の激しいPJで、日向も日陰も味わい激論も少なくなかった分、絆も強かったようだ。思いがけずも、前に一緒に仕事をした仲間とも再会し、彼らが去る時に言いそびれた送別の言葉を言えて、心残りが解消されたのが有り難かった。

家の引越し準備はほとんど家族任せになってしまったが、荷物を満載したトラックを見送り、六本木ヒルズ内のホテルに移って一日オフを入れた。六本木ヒルズを一番気に入っているのは、ヒルズライブラリーという図書館があることだ。MBA受験中は毎晩のようにここで過ごし、My書斎と化していた。経営書は、特に戦略論の蔵書が充実していて、JバーニーからポーターまでMBAで定番のテキストが綺麗に並べられていた。読み切れた本は少ないものの、頭の中にも本棚が出来たように整理され知識の構造化に役立った。新しい話題の本も比較的早く入り、さらに、コーヒーにソファ、そして都心の眺望が同時に満喫できる、本好きには最高の場所である。マイライブラリと呼ばれる自習室では、GMATのofficial guide等や司法試験の本を机に開いている利用者も何人かいて、同じように打ち込む人の姿もいい励みになった。大きな会議室もあり、Stanford GSBの説明会やムハマドユヌスの講演会もあった他、政治・経済・科学・文化の色々なトピックで一線の専門家が一般向け講演が催され、月1,2回は話を聞きに行った。

ヒルズのオープン時に、森ビルの社員と住民向けのレセプションがあり、オーナ社長の森氏がここに"街"を造るというコンセプトを語っていた。ライブラリーのような文化施設は、収益性は低いだろうが、精神的な住み心地を豊かにする恩恵は私には非常に大きかった。街のコンセプト自体が革新的だったと思う。森社長いわく、そのきっかけは、長い通勤に疲れている日本人のために家と職場を一体化した街を造りたいと思い至ったこと。唯一の想定外だったのは、再開発中に金融の外資開放が進み、レジデントの多くが外国人になってしまったことかな。

2009年5月16日土曜日

講演: John wood - 社会を変えるリーダーに必要なこと 5/16@麹町

John Woodの講演を聴いてきた。彼が創始したRoom to Readは、著名な慈善団体である。ネパールをはじめアジア・アフリカの途上国に、学校や図書館を立て本を配り、教育から貧困を解決することを目指している。Johnは、小さい頃から読書好きで、ネパールにトレッキング中に訪れた学校に本がないことに衝撃を受け、たくさんの本をヤクに載せて学校を再訪する。その活動に人生をかける意義を見つけ、Microsoftでの将来あるポジションを捨てて、Room to Readを設立した。私は、3年ほど前だろうか、"Leaving Microsoft to Change the World."(洋書)を読んで、心を動かされた。それは、自分の体験や夢と重なる部分もあったからだと思う。私もネパールのポカラの先にある山奥で訪れた村の学校の記憶はたしかに残っている。子供達はいきいきと外を駆け回っていたが、学校の建物は簡素だった。同じように訪問しても、Johnが凄いのは、すぐに行動して本を集めてまた訪れたことだ。アジアに役立つことを何かしたいという漠然とした自分の渇望を、Johnは見事に実現している。彼の父親が入会していたロータリクラブの組織が本の輸送を手伝ってくれたという逸話も、私がロータリに応募するきっかけになった。

昨年末に六本木アカデミーヒルズで講演した時は、出張中で話を聞けなかったので、今回、また日本で講演すると知ってすぐに申し込んだ。Johnは日本にちょくちょく来ているらしい。目的は、fund raisingである。昨日のイベントだけで、6500万円も寄付を集め、東京支部は設立2年間で2億円を集めている。米国のように個人の資産家がポンと何億も出す文化がない日本で、この集金力は凄いと言える。私が個人的に手伝ったNPOでは、何人もが相当に汗をかいて大企業を回って毎年百万程度であるから、比べてもその集金力は群を抜いている。まるで、富裕層向けに金融商品を売り込むがごとく、BrandとMarketing戦略を徹底しているところは、Kellogg卒業生らしい。CNN等の各種メディアで露出しつつ、驚異的なスピードでscale outしている。そのために、Johnは世界各国を回り、地域支部の集金活動を支援しているようだ。

Johnの考えるリーダシップについて、今日の講演で語ってくれた。彼の定義によると、本当のリーダシップは、お金を払わずに人を動かすことにある。お金を払って人を雇うと、雇い主の意向にただ従うだけになり、創造性が無くなる(米国人の起業家らしい発想だ)。使命感を感じさせれば、本人の意思で活動に参加させることができる。途上国教育では、このような使命感のある参加者は、比較的容易に得られるらしい。地域支部は、米国人ではなく、ローカルの人によって運営される。一種のフランチャイズか。このリーダシップの成功のポイントは3つある。まず、"Bold goal inspires bold people." これは、MS CEOのSteve Ballmerの請売りらしい。"Go bold. Or go home."も積極的な彼らしい。Steve Ballmerがオフィスに安住せず、各国の重要顧客を常に回り続けるリーダシップスタイルを、Johnも踏襲しているとのこと。次に、Winning teamにすること。勝ち続けるチーム、成功しそうな案件には、人が自然と集まる。最後に、結果を出し続けることで、恒久的なサイクルを築くこと。結果の指標は明確で、学校や本の数であり、普通のビジネス同様に、如何にそれを加速度的に増やすか、自然と皆が知恵を絞るようになる。これらの3つのKSFに加えて、彼の行動的な"Get stuff done."という性格が、ビジネス手法を企業以上に活用した慈善団体としての性格に色濃く反映されている。

ボストンにもRoom to Readの支部があるそうなので、MITに講演に呼べたらいいな。Boston Careという団体に登録中で、空いた週末などに、ちょっとボランティアできればと思う。

2009年5月14日木曜日

MIT Media Lab

ボストンへの渡航が近づき、仕事の引継ぎや壮行会なんかが日々続く。会社のいろいろな場で、留学で何しに行くのか話してくれと頼まれる機会もある。スローンの紹介に、パンフレットや現地の写真を使うのだが、どうしてもビジュアルが弱い地味なプレゼンになってしまう。同じ時期にMedia Labに行く同僚のプレゼンは、ずっと惹かれる。Media Labは、聞くたびに新しいコンセプトや驚きがある。人をテーマにする研究も多く、Handycapのある人がそれを単に克服するだけでなく、積極的に新しく出来る事を創造している。健常者より速く走れる義足(非動力)や、わずかな筋肉の動きで楽器を演奏する伝達系システムなどが、理論と実践の両面で研究されている。生活すべての映像を録画するというコンセプトも、一見すると冗談のようなMad Scientist的な構想でも、実際にその録画システムを開発したり、その膨大な録画記録からある興味深い統計を抽出している。日本の研究室紹介だと、Webに何年も同じテーマの絵が載っているが、Media Labは、企業からFundを集められる教授だけが生き残れるシビアな競争世界でもあり、いつも革新的だ。

スローンよりメディアラボに行きたかったと思うこともあるが、芸術家肌の天才が多いメディアラボで生き残るのはスローンより大変だ。

2009年5月9日土曜日

異業種交流会(5/9@御茶ノ水)

GWの最中、都内で行われた異業種交流会に参加した。代表者の方が、昨今の金融危機の原因とグローバル経済への波及メカニズムを、バランスのとれた視点で素人にも分かりやすく解説してくれて、勉強になった。講演の後のディスカッションや懇親会でも、官公庁や金融の方と色々と新しい視点をお伺いできた。特に、帰国後の目標として考えていたアイデアに共感いただける方がいて、具体的な形態とビジョンを既にお持ちだったのが、とても嬉しく勇気づけられた。ボストンでも、同様な交流会や、MIT, Harvard等で大学主催の各種フォーラムが結構な頻度が開催されている。渡米した後は、色々な機会を見つけて参加したいと思う。

2009年5月8日金曜日

書評: まっとうな経済学

MITのオリエンテーションで、タイトルの本の原書"The Undercover Economist"をもらった。
Summer TermのコアのApplied EconomicsのPre-course宿題としてタダで配られた。移動中の飛行機などで少しページを繰ってみたが、数ページ長々と導入がありテンポが悪く瞼が重くなる。帰国後もそのまま放置していた。

宿題だし読んでおくかと思い、図書館で読み始めると、中々面白く引き込まれた。著者は、FTのエコノミストで、コーヒーの価格の裏事情等の経済事象を、ミクロ経済学の法則を当てはめてシャーロックホームズばりに推理していく。具体例が、Londonっ子らしさと世界中の国々での実体験を元にしているのと、イギリス人の独特の皮肉っぽさが出ている点が私の好みに合った。

他の人はどう読んでいるんだろう?と、ふとAmazonでこの本の評判を検索してみると、意外にも翻訳本が出ていることを発見。和書タイトルは、「まっとうな経済学」ランダムハウス講談社から。運よく、ライブラリに置いてあったので、原書を潔く諦め、和書で一気に読んだ。原書とタイトルが全然違うのは、ベストセラーになった「やばい経済学」の2匹目のどじょうを狙ったらしい。が、この本は、実用書や娯楽書の類でなく、まじめなミクロ経済の副読本である。

前半の1~5章は、基本概念の導入部分。需給価格均衡と、税やレント等による均衡移動、市場の失敗を解説する。需要・供給曲線を一切使わずに説明されているが、頭の中で曲線をイメージしないと分かりにくいのではないかな、と理系の私なんかは思う。まぁ、経済紙のコラムにそんなものは出せないか。キーワードだけでも、資源の希少性、限界選択、資源レント、効率性と公平性、外部性、情報の非対称性が登場する。後半の6~10章は、独立したトピックとして、ランダムウォーク、ゲーム理論、政府盗賊説、比較優位、グローバル化の罪、中国の市場原理の導入が取り上げられる。

私が一番面白く感じたのは、買い手個人の価格感度に合わせて、最も高く買わせる方法論だ。Whole foodsの食料品の陳列では、著者の観察によると実に色々な工夫があったらしい。値段に無頓着で目につくままにカゴに放り込んでいた私は、見事に高値に誘導されていたようだ。価格選択性の高い賢い顧客向けに、Whole foodsは、ばら売りの方が安い場合が在るとか、見えにくい棚に安売り品を用意しているなんて知らなかった。その場合、Safewayで買うのと大差ないらしく、「高級店で安い物を選んで買う」のが一番賢い買い方らしい。この他にも、買い手の支払い意欲価格に対するシグナルやそれを告白させる手法が、本全体に渡って色々な角度から紹介されている。今の仕事で活用できないかヒントになった。

また、7章のゲーム理論を用いた各国の周波数競売の実践例は、参加者の心理戦を事前に予測して入札ルールを決める点が、なかなか読み答えがあった。イギリスの成功事例では、真剣な参加者を増やすこと、参加者の入札価格を共有して入札対象の価値の信頼を上げる点がポイントと触れられた。ポーカーテーブルも似た傾向があって、直感的に理解できる。賭金のポットが大きくなるのは、まず勝ちたいという意欲が強いメンバが多く、集団心理で誰も下りない時だと思う。

2009年5月1日金曜日

GW集中・中国語講座

アメリカ出張から戻って1週間。時差ぼけのせいか、朝早く目が覚める日がまだ続いている。今朝のNHKニュースによると、今年のゴールデンウィークは資格取得などの短期集中講習が人気らしい。不景気に強い不動産登記に必要な資格などが特に希望が殺到しているそうだ。私は語学を。Googleで”中国語 GW集中”で検索すると、色々な語学学校が短期コースを提供している。中国への短期留学も北京、上海を中心に様々。早くから計画していれば行っても良かった。豚インフルエンザが怖かったわけではないが、結局、明日開始の都内の少人数制の教室に申込み。電話でテキストは何か聞いたら、オリジナルの教科書とレッドクリフの林志玲の台詞を使います、との返事。レッドクリフ2をつい数日前見たばかり。台詞は結構、字幕と一致してたので結構ヒアリングできた。これから4日間は朝から中国語漬けになる予定。中国語を趣味のレベルで終わらせず、仕事で多少使えるレベルまで長い目で続けたい。

Vacation Plan (2009-2010)

4/17のオリエンテーションで休日が発表された。4連休が何回かあるのが思案のしどころ。一度しかない夏休みが一番バリエーションがあるので、そろそろ考えておこう。

2009
July 16-19 Thurs-Sun Mid-term break – Student Holiday
忙しい夏学期の合間で、遠出の元気があるかどうか。。様子を見て近場のワシントンDCあたりの小旅行くらいを検討(普通の週末2日間でも行けそうだ)。

August 21 – 6 September Student Holiday
夏学期終わってベストシーズンに16日間休み。ヨセミテを検討。ヨセミテのTuolumne Meadows方面から1週間くらいキャンプ&ロッジでゆっくりトレッキングする計画。連続でのサイト予約は至難なので、ガイドツアーもいいかも。オレゴン、アラスカも候補。

November 26-29 Thurs-Sun Thanksgiving Vacation
秋学期の後半途中で、次年に向けた準備計画もあり色々忙しいはず。家で過ごしてターキーを食べるくらいか。

December 18-3 January Fri-Sun Winter Vacation
冬学期終了後の16連休。NY Tripに続いて、ヨーロッパ旅行にそのまま出発!?。

2010
January IAP
休みではないが、IAP期間どうするか思案中。Innovation論でThesisが出来るか、米国内で一緒にGreen TechでS-Labに参加するSloan Fellowsの仲間に恵まれるか、どちらか出来ればいいけれど。

March 19-28 Fri-Sun Spring Vacation
CA Tripに続く10連休。結構、長い。この時期なら、グランドサークルの未踏の右半分(アーチーズ、モニュメントバレー、他)くらいかな。南米も検討できる時期。

April 19-20 Mon-Tues Patriots Day – Student Holiday
この頃がプログラムもほぼ終わる来春が一番余裕ありそう。

書評: The Race for A New Game Machine

最近の読書について。4月の渡米時に、MIT Coopや街中の本屋で何冊か買って帰った。

- Andy Grove: The Life and Times of an American Business Icon
 Andy GrooveのIntel創業記。著者は、ハーバード教授でビジネス史専門。ハンガリー難民の無一文から世界最強企業のインテルを築くまでのアメリカ版太閤立志伝!?。

- Ahead of the Curve: Two Years at Harvard Business School
 アメリカ人ジャーナリストがHBS在籍の2年間を主観的にNon-fiction風に書いた本。アメリカ版岩瀬さんブログ!?。("Ahead of the Curve"は、MBAが好む統計分布曲線のはずれ値の優秀集団の意。)

この2冊はボストンに関係がある本。少しづつ読んでいるので、そのうち、書評を書きたいと思う。
また、6月からのコアコースのPre-cource Readingとして3冊の分厚いHardcoverと1冊のPaperbookが指定されているが、数ページめくってみたものの内容が面白くなく進まない。授業が始まるまでたぶん先送り。

さて、同じく持ち帰った「The Race for A New Game Machine - Creating the chips inside the Xbox 360 and the PLAYSTATION 3」は、テクノロジー色の強いビジネス書で、自分にはこれが一番面白く読めた。

この本の背景は、次世代ゲーム機のチップ開発。IBMは、Sonyの次世代ゲーム機PLAYSTATION 3のチップを、Sony, Toshibaと共同で2001年に開発開始する。2年後の2003年、MicrosoftがIBMの所に現れ、ライバルゲーム機XBox 360のチップ開発を要請する。SONY, Microsoftは、2005年クリスマスへ商品化先行を競い(Race)、異なったチップのコンセプトを持つが、IBMには、同時に複数のチップを開発するリソースがない。そこで、IBMは、SONYと共同開発したチップを、ライバルのMicrosoft向けに巧みに転用して、一石二鳥を成功させる。

著者は、IBMのアーキテクトである技術幹部。全体のトーンは、IBMの輝かしいプロセッサ開発の歴史や、部署間の政治的駆引きを背景としながら、IBM内の技術幹部同士の会話が情緒的に織り込まれている。また、表向きは、共同開発パートナのSony, Toshibaの日本人技術者と毎日席を並べて友情を交わしながら、裏では、彼らの宿敵Microsoftと巧みに通じる点が繰り返し取り上げられ、開発秘話とビジネス書的な教訓を展開している。

本が明示する教訓は、Work Hard. Play Hard, Stay positiveといった程度の小さいTipsだ。しかし、私を含め技術系マネージャにとって、もっと大きな観点で考えさせられることがこの本にはある。一つは、技術開発プロジェクトの大局的な戦略決定を担う技術幹部がそれぞれの立場で、仕様・リソース・スケジュールの日々の課題に、どういう視点やモチベーションを持ち、影響力を及ぼし合うか、口語的な会話を以って疑似体験できる。これも、米国型の誰が何を決めるか役割が比較的明確な組織だからこそ意味がある。日本型のコンセンサス重視の組織だと、本で断片的に読んでも各発言の影響が測りかねる。もう一つは、ゴシップ的な暴露話として読むとIBMのパートナ・顧客への不義理ぶりが目につくが、Ethicalな範囲内で組織防衛(雇用維持)という動機の下では、MicrosoftのDeep Pocket(金)に靡くのも同情・理解できる。日本が得意重視の商慣習を維持できるのは、日本人の美徳だけとも言えず、もしIBMの数々の事例のように雇用カットが突きつけられたら、古いお得意さんより金のある新しい客に靡かざるを得ない。IBMと同じく技術系マネージャが自身と組織の存亡をかけて積極的に売込みに出ることになる。

テクノロジーの本としても、マイクロプロセッサが好きな人には、面白く読める本だ。PLAYSTATION 3のCellチップを全ての家電に搭載する開発構想は、Tron以来の打倒Intelの可能性が語られ画期的だった。IBMのMicroelectronics Divisionが人材確保に苦労して、本流のAustinのServer部門の協力が得られず、ITブームでIBMを一度去った退職者を再雇用したり、Rochester (AS400等), Yorktown (Research), Raleigh他のIBMの叡智を集って分散開発した。プロジェクトの後、IBMのCorporate Ladderをさらに駆け上る人、AMDの幹部に転進する人もあり、著者はまたスモールビジネスに戻ることになる。