2009年11月28日土曜日

Spring Elective Courses

春学期のElectiveのBiddingが始まるので、気になる授業のシラバスを見てみた。Sloan Fellowsの春学期は、2,3コマが必修科目である以外は、最大48単位まで選択科目が取れる。SloanからはFinance系と他にソフトスキル系(Negotiation等)も含め幾つか取り、HBSも2,3候補がありもし取れたら1科目履修予定。春学期は特にFinanceの授業が教授陣、科目のバラエティとも充実していて、SloanはまさにFinance好きには最高の環境。

Finance系

履修予定:
- 15.963 Valuation (S. Myers)
- 15.437 Options and Futures Markets (J. Cox)
- 15.419 (H2) PE&HF (Cooper)
未定 or 聴講:
- 15.431 Entrepreneurial Finance
- 15.433 Investment (秋学期と内容が違う)
- 15.434 Advanced Corporate Finance (上の2つと時間が重なってる)
- 15.977 (H2) Investment Management (J. Shames)

その他

- 15.268 Choice Points (SF家族向け)
- 15.665 Power & Negotiation
- 15.617 Business Law (Finance)
- 15.769 Operation Strategy
- 15.018 (H1) Global Econ Challenges (K. Forbes)

2009年11月26日木曜日

Thanksgiving Day

アメリカは11月最後の週末は感謝祭で4連休になる。米国で開発の仕事をしていた時は、サンクスギビングからクリスマスまで長期休暇を取る人も多くて職場は休暇気分だったが、学校では12月前半まで秋学期の最終レポートや期末テストがあるので、もう一息というところ。11月に入ってからは、ゴルフが減った代わりに、家族で友人宅にお呼ばれしたり我が家にご招待したりして休日を過ごすことが増えた。Thanksgiving Dinnerに郊外の同級生の自宅へお邪魔し、定番のターキー、マッシュポテト、サツマイモ、などを頂いた。ターキーが非常に柔らかくジューシーで、最後にそのスープでお粥にしたのが絶品だった。ターキー作りは一度トライしたことがあるのだが、インターネットのレシピどおりに果物や野菜などを詰めて、オーブンに入れて表面が乾かないようにこまめに油を掛けて焼き、手間がかかった覚えがある。今日のターキーは、脂肪を全部取って表面に無脂肪のバターを塗り、中にリンゴとブトウだけを詰めたそうで、ターキーの旨みだけをモイスチャーな食感とともに味わえた。食べたり話したりで遅くまでのんびりしてしまった。

2009年11月23日月曜日

Vogel塾(Innovation)

今日はVogel塾でInnovationをテーマに簡単な発表をした。Vogel塾は、Havard, MIT, Taftsなどの日本人留学生が集まって、分科会ごとに毎回テーマを変えて活発に議論し交流することを目的としている。分科会ごとに月2回程度の定期的な会合があり、私は経済班に参加していて、今日が発表の順番だった。日本のベンチャーを話題に選んだところ、アメリカで起業を考えている技術系の学生とか、政府や大学の立場で日本のベンチャーのあり方を考えている方のお話を伺う機会に恵まれ勉強になった。留学前は、日本のソフト系ベンチャーの方にお会いする機会が多かったが、一番の課題は人材確保の難しさと聞くことが多かった。大学のインキュベーションセンターは、オフィスの提供だけでなく学生を採り易い点もメリットで、一つの解になっているようだ。ちょうどキャリアフォーラムの関係で留学生の方と話す機会が多かったが、大企業を就職希望する理由は、安定志向ではなく、ベンチャーだと実現出来ないような社会的意義を求めている方が多い。皆、夢いっぱいという感じで刺激を受けた。

2009年11月22日日曜日

Wall Street Prep

週末2日かけてValuation modelingの講習を受ける。Wall Street Prepという投資銀行に就職したい人向けの研修を提供している会社によるもので、受講料は一日$500くらいするらしいが、MIT Finance Clubのメンバは無料で受けられた。初日はDCF/WACCの基礎演習でよい復習になり、2日目はM&A, LBOの比率分析によるAccretion/Dilution評価で、実際に計算するのは初めてだった。投資銀行がセールスピッチのプレゼンを作る際には、DCF/WACCと比率分析を全部やった上で、顧客の希望価格と摺り合わせるのだとか。また、Excelのショートカットを駆使して、極力マウスを使わずに=SUM()やFill Down/Rightするのに慣れると、たしかに作業効率がよくなった。これまでもM&AやFinance IIの宿題で計算を間違える度に、チームに迷惑をかけていたが、その過程でCommon Mistakesも踏みながら細かい点で理解が進んだ。

2009年11月20日金曜日

H-mart (ジャンポン)

ボストン近郊にオープンした韓国系スーパ、H-martに久しぶりに行った。韓国人のクラスメートは、週末の買い物に必ずH-martを選ぶというほど、韓国系食材の品揃えと新鮮さはやはり圧倒的。日本食もオープン時には無かった田牧米の新米が入荷していて、セレクションがちゃんと改善されていた。H-martのフードコートで、クラスメートお勧めのジャンポンをトライした。韓国といえばジャージャー麺が大人気で、4月14日をブラックデーと称して、バレンタインデーにもホワイトデーにもチョコを貰えなかったシングルズが、ジャージャー麺で合コンをするくらいとか。ジャンポンは、そのとき初めて聞いた料理だが、2種類オーダしてみると、普通のジャンポンは赤く辛いスープ、シーフードジャンポンは長崎チャンポンそっくりで、ジャージャー麺と同じやや太めの丸麺に、野菜とイカやオイスターなどがたくさんのっていて美味しかった。両方とも海鮮ベースのスープダシで、特に新橋とかに出てたら流行りそうな、飲んだ後にうってつけの滋味だった。私はあっさり味のアジアン麺が好きで、ジャンポンは、ベトナムのフォー、台湾のダーツー麺に続く殿堂入り。シーフードジャンポンの写真はこちら。

2009年11月18日水曜日

15.433 Investments (WaMu)

InvestmentsはH2に入ってから、色々なFundsのポートフォリオ分析が続いていたが、昨年にリーマンに続く大型倒産となったWashington Mutual(WaMu)を題材にした新しいケースを授業で取り上げることになった。WaMuは、他社では信用不足で組めない住宅ローンを積極的に引き受けて規模を拡大し、2006年末には$346 billionの資産規模に達する。さらに、そんなサブプライムローンを証券化したMorgage Backed Security (MBS)も売りまくっていて、米国で初めてCovered Bondsも商品化している。Covered Bondsをちゃんと勉強したのは初めてで、MBS同様に担保付債券だがOn Balance Sheetなので担保を持つ銀行だけでなく発行体の信用もつく。担保がレーティングに応じてCover Poolの中で入れ替わり、買い手にリコース権があるので、流動性が高い。銀行が個人貯蓄で比較的資産に余裕のあるドイツをはじめヨーロッパでよく売れていて、米国でもGSEに頼る住宅ローンの貸し手資金を多様化するため、WaMuに続きBoAも発売を始めている。米国では比較的新しい商品だったため、倒産時にどう清算されるか法制度化されておらず評価リスクがあった。授業でのTakeawayも、金融危機でDistressに陥った時のValuationの考え方で、結局は市場と法的側面を総合的に判断するというケースバイケースだったが、WaMuのChapter 11適用後もCovered Bonds分はJP Morganが維持して、価格も持ち直した。

2009年11月16日月曜日

15.433 Investments (Trading Record)

ヘッジファンドの運用成績や見込みを評価するポイントを学ぶ。ちょうど他の授業とも関連が出来て、Tech Salesでは、ヘッジファンドのセールスマンが商品を売る設定で安定したリターンを強調したり、また、Financial Crisesでは運用成績を統計的に分析するなど、秋学期は横断的に見える機会が増えた。顧客へのセールストークや、トレーダの社内評価では、期毎リターンが安定している方が望ましい。すなわち、Sharpe Ratioを高くβが安定しているように見せかける動機が存在する。このため、期末のポートフォリオだけが公開されるファンドでは、期末のタイミングでT-billに置換えたり、含み益のあるポジションだけを持ち越して翌期に赤字が出たときに補填するといった、Return Smoothing (利益平滑化)が少なくないそうだ。特に、流動性が低いエマージングマーケット資産や転換社債などは市場価格が付かない以上、前期からの価格変化を外挿した価格で評価される。こうすると、期毎の利益にSerial Correlationが生じて、Return Smoothingを見破ることができる。逆に、相関のないilliquidity Exposureは検知が難しいので、一見すると高いαを数年に渡り安定している稼いでいるファンドでも、リスクが潜んでいる場合があるというのがTakeawayだった。

15.970 Financial Crises (Aug 2007)

Andrew Loは、Behavioral Financeを金融工学に取り入れたPaperを幾つか出している。15.970は実践的なSpecial Seminarという位置づけで、宿題のうち2回は、Andrew LoのPaperを読み、行動ファイナンスの仮説を実際のトレーディングデータで検証するものだ。TAが宿題を新たに作っているが、Recitationとともに彼の実力でなかなかよく練られていると思う。今回は、"What Happened To The Quants In August 2007?"というPaper。2007年8月のある週に、S&P 500が小幅だったのに、Market-Neutralなヘッジファンド(HF)が巨額の損を出した理由を、同じ投資戦略を取るHFが増え一斉に資産を流動化させたという仮説で説明する。LTCM破綻の98年とは比較にならないほど、同じようなFactor-basedのポートフォリオを持つHFの規模が大きく相互に密接に関わるようになると、新しいベータの考え方が必要で、Systematic Riskが結果的に大きくなるという解説だった。金融市場を学ぶのにあたり、マクロ経済の長期的なファンダメンタルは伝統的に学校で学べるのに、存在感を増す投機マネーの短期的な動きはアカデミックで学ぶ場が少なく、この授業はMITならでは。

2009年11月10日火曜日

15.387 Tech Sales (CVS)

Tech Salesでは、授業の冒頭に皆の前で学生2人がセールストークのロールプレイをやっており、コールドコールで出番が回ってきた。全米ドラッグチェーンのCVSのBuyerの立場で、マージン等にあれこれ難癖をつけるだけなのでSeller側よりはずっと簡単だった。Tech Salesの授業は、Seller側のアクションを学ぶ過程でBuyer側の立場や心理も読み取ることが課題になるが、実際にBuyer側でロールプレイすると意外と深く考えられてなかったなと実感した。競合のWalgreenに対して、どんな商品構成や展示広告で差別化したいとかとっさに考えが浮かばなかった。こういったパーソナルスキル開発の授業を、SIPからH2に入ってとってみると結構学びが多いので、春学期もコミュニケーションかネゴシエーションあたりを取ろうと思う。

2009年11月9日月曜日

15.970 Financial Crises (LTCM)

昨年のリーマン破綻に続く金融危機をきっかけに、1998年に同じく破綻して救済されたLTCM(Long Term Capital Management)のケースが改めて脚光を浴びている。Andrew Loの15.970の授業で、LTCMの元トレーダがゲストスピーカとして、LTCMのTrading Strategyの解説からBailoutに追い込まれるストーリを語った。日本だったら破綻した銀行の関係者が表で内実を語ることは無いと思うが、違法な不良債権隠しによる損失が結果的に税金で処理された日本の場合と違い、LTCMは純粋なトレードの損失でクローズも速かったので、HBSのケースにもなり、関係者もまた同じようなファンドを作ってビジネスをしている。LTCMは、94年に創業して年40%を越えるリターンを上げ、97年には$129 Billionものポジションを持つことになる。LTCMが得意とした金融工学を駆使したConvergenceと呼ばれるアービトレージ手法は今では誰でも知っているが、同一の理論価格を持ちながら価格差のある2つの商品を見つけて、高い方を売り安い方を買いリスク無しでリターンを得るもの。国債だったら発行後のプレミアムがついたOn-the-runをショートし、 off-the-runをロングする。ここまでは本などで読んでいたが、ケースを読むと国債以外にもSwap, Mortgateなど色々な金融商品のスプレッドをアービトレージし、後に破綻に繋がる流動性リスクについても定量的に管理されていたことを知った。15.433 Investmentでは最後2回の授業で同じLTCMのケースを扱うので、Cohen教授がクオンツ側の視点で掘り下げるのが楽しみだ。さて、98年の夏に突如起きたRussian Defaultを契機に、質への逃避(Flight-to-quality)を生じる。市場の歪みは絶好の機会であるはずが、理論価格に収斂するまで持ち堪えられず、Mark-to-Marketによるポジション解消が、市場全体の売りを誘ってさらに損失が膨む状況を囚人のジレンマに喩えた。LTCMは、一日で$500 millionも損を出すようになり、危機前のDaily Return Sigmaが$45 millionだったというから、10 Sigma eventが日常的に起きたことになる。市場危機下では商品間のCorrelationによりSystematic Riskがロングテール分布になることが今では知られている。結果的に、絶好調だった97年末に配当した$2.7 billionを留保していれば、耐えられたはずとのことだった。ケースの最後は、ウォーレンバフェットによる期限付きの救済提案の話で、アラスカでビルゲイツと休暇中に話を進めれていたら連絡の行き違いで期限を逃し、高いバケーションだったと言った話でしめた。

2009年11月8日日曜日

Golf Brookline (最終コース?)

同級生に誘われブルックラインのコースへ。ボストンは10月に入ると雪が降る日もあり、もうゴルフが出来ないと聞いていた。実際に、雨で一度キャンセルになった他、別の日に行ったグループは、朝は霜が降りていてティーアップ時間を2時間くらい待たされたそうだ。もう11月であるが、今日は最高気温16度の予報どおり、紅葉と落ち葉の美しい秋景色と青空の陽気の中、最高のコンディションでプレーを満喫した。日を選べばまだプレーできそうだが、コースは今年最後かな。

2009年11月7日土曜日

HBS Finance Conference

HBS Finance Clubが主催するFinance Conferenceに参加。投資銀行に興味のある学生をターゲットにしたイベントで、スピーカセッションやパネルセッションが終日続く。キーノートは、BarclaysのIB部門のトップで、Lehman買収後の経営統合がうまく進み既存のUS顧客もほぼ戻っており、Bulge bracketのグローバルなディールパワーが健在な点を何度も強調していた。また、HBSのPozen教授(Bob)は、CDSを錬金術に喩えながら、金融危機を防ぐ為の規制のあり方のレクチャーが面白かった。その中で、最近出版した"Too Big to save"に掛けて、$200Bもの税金を600以上の銀行や企業のBailoutに使う現状を皮肉まじりに話していた。"This Time is Different"に続き、金融危機の流行語をもじった本が多い。パネルの方も、米国メジャーのIBからMDクラスも来ていて、一日かけてM&A, PEからオルタナティブまで、Marketの色々な現場で今起こっている生の声を聞けたのが収穫だった。M&Aの今後数年のトピックの他、GM倒産をケースにしたレクチャーでは利害関係者の経済的・政治的なな視点の分析が秀逸だった。また、開催場所のHBSだけでなく、MIT, BabsonやBUの学生も来ていて、各学校のカリキュラムや共通の知り合いの話もできた。平日のイベントも色々参加しているが、休日に丸一日かけて一つのトピックに集中して学ぶスタイルはより充実感があった。

2009年11月6日金曜日

Media Lab: MAS964 Imaging Ventures

秋学期は、ファイナンスとアントレを主に取っていて、春学期はその学びを応用して深めるため、プロジェクト系を取るつもり。幸い、スローンでは、ファイナンス系にも実際に企業とプロジェクトを進める授業(Proseminar)がある。一方、アントレ系の方は、15.390 New Enterprisesに出ていたのだが、肝心のプロジェクトが学生のひらめきのアイデアに任せられていて、テクノロジーの中身が薄い点が合わずDropした。もっと本格的なハイテク物をやりたいと思って、スローンの外で探すと、メディアラボとJointのDevelpment Ventureを取っている同級生が何人かいて、話を聞くと面白そうだった。春学期にある、MAS964 Imaging VentureというCamera Culture GroupのRamesh教授が教えるコースが候補。研究室でどんな要素技術を扱っているか見るため、秋学期のコース(MAS131/531 Computational Camera and Photography)にようやく行けた。3次元トモグラフィーの原理は十分理解できなかったが、結構、応用視点の議論もあり、ハンドキャリーサイズにいつ出来るかとか何に使えるかとか、エンジニアからビジネスアイデアが出てきており、いい刺激になった。

2009年11月4日水曜日

Google CEO Eric Schmidt講演

Google CEOのエリックシュミットがMITで講演をするというので、聞いてきた。先月には、オバマ大統領が同じホールで、Clean Energyへの積極投資を謳う講演をしたばかりで、著名人の来訪が続く。エリックシュミットは、エンジニアから経営者となった一つの目標像。言語解析を専門とする生粋のソフトウェアエンジニアで、Bell LabやXerox PARCを経て、SunのJava開発をリードした。NovelのCEOだったところを、Googleの創業者であるLarry PageとSergey Brinの2人とともに、経営を担うことになった。他の2人が表に出てこない一方で、エリックシュミットは対外的なGoogleの顔である。
講演の内容は、Honorの教授を偲ぶ冒頭から、GoogleがInternetをどうRe-engineeringしようとしているか?から始まった。どこでも同じことを答えているが、世界中のバラバラで大量の情報を統合するというビジョンに始まり、オバマ大統領にかけて風力発電などでCarbon Offsetに早くから取り組んできたことを語る。インタビュワーは、Microsoftなどとの競合に話を振ろうとするが、エリックシュミットは軽くかわす。会社としては、ストリートビューや著作物のデジタル化で世界中で訴訟を抱え、OSや企業向けサービスで競合の既存ビジネスを激しく侵食しているが、エリックシュミットだけは柔らかい笑顔と語り口でGoogle脅威論を和らげるのが、まさに彼の仕事のようである。同じ西海岸のエンジニア出身のビルゲイツやラリーエリソンがだいぶ攻撃的な経営者なのと比較して、彼のスタイルは独特だ。世界中がGoogleの動向に関心や懸念を寄せる中で、メディアのインタビューを数多くこなしている。いつもソフトかつシャープな語り口で、壮大なビジョンを語る彼のスタンスは、以前からFT.comのView From the Topなどで感嘆とともに見ていた。インタビューでは事前に質問リストが渡されているだろうとはいえ、簡潔かつ明快な応対は、エンジニアらしく頭が非常にクリアに整理されているんだろうなと思う。Sloan FellowsのLeadership Seminarでは、東海岸の大企業や軍人などが多くて、大仰な言い回しに最近ようやく慣れてきたものの、久しぶりにエリックシュミットの話を聞くと、余計に差が際立って良く聞こえる。

2009年11月3日火曜日

15.387 Tech Sales and Management

H2から始まったTech Sales。毎回、商品と顧客が設定されたミニケースを元にロールプレイを続けるスタイルは変わらないが、これまで授業ごとに明確なTake awayがある。商品の仕様ではなく顧客のベネフィットに置き換えてアピールすること、特にプレゼン相手の上司が関心を持つバリューに留意することなど。Steve Jobsのプレゼンの秘密と題したBusiness Weekの記事がポイントをよく纏めている。
http://images.businessweek.com/ss/09/09/0929_jobs_presentations/
これらは当然の話であり、プレゼン資料に盛り込むことは簡単だ。しかし、これを顧客に質問を繰り返しながら、顧客自身に商品が満たすニーズを告白させるのは難しい。宿題のビデオを撮りながらパートナと練習して初めて実感した。例えば、ネットワーク監視装置を売り込みたい時、いきなり「この装置はXX秒前に問題を検知できます」と仕様の説明を始めても、顧客は興味がない。代わりに、売り手「御社のネットワークが急速に大きくなってますね、次世代のネットワークは誰が設計してますか?」→買い手"弊社のエンジニアです"→「ではエンジニアの皆様はお忙しいですね、日常的な問題対応の負担は減らしたいですね?」→"ええ"→「もし、問題を未然に検知できたとしたら、どう対応しますか?」→"発生前にメンテします"→「とすると、例えばXX秒前に問題が検知できれば、どれくらいメリットがありますか?」→"問題対応に忙殺されていたエンジニアを半分くらい、設計の仕事に振り分けられます"と顧客自身にニーズを語らせる。こう聞くと、セールスのスキルは、人に行動を促す非常に汎用的なもので、部下への指示から、起業家のVCピッチまで活用できそうだ。
この授業の教授の一人であるProf. Auletは、コールドコールの多い授業で緊張感もある。Sloan Fellows卒業生でもあって、ちょうど授業の夜にあったAlumniパネルでは、Fellows内の気安さもあってか、彼自身の起業を決めた経緯や日頃のストレス解決法までフランクに語ってくれた。IBMを長年勤めて起業のスタートは遅かったものの、その分、大企業ならではのトレーニングのメリットを活かして、色々なスキルを身につけたことが、起業家へ進むのに大変役に立ったとのこと。MBAの選択科目は、初めて学ぶ人向けによく練られているので、できるだけ幅広く取ろうと思っていて、Tech Salesはその一つでもある。

2009年11月2日月曜日

15.970 Special Seminar: Financial Crises

ファイナンスエンジニアリングで著名なAndrew Lo教授が教える15.970 Special Seminar: Financial Crises。Andy Loの授業は大変人気があるが、本当に教育熱心な人なんだなと思う。初回の授業で言っていたがのが、「MBAの2年生にAdvancedなコースを教えるのは簡単。既にファイナンスが好きな学生が集まるから。でも、15.401や15.414などファイナンスを初めて学ぶ人を、ファイナンス好きにさせるのは難しいけど楽しい。」 夏にこれを聞いた時は、リップサービスかと思ったが、実際に私もAndrew Loの授業をきっかけにFinanceを現実の生きた学問と感じて面白く学べるようになった。
さて、今日のゲストスピーカは、Harvard経済学部のKenneth Rogoff教授で、最近出版された"This Time is Different: Eight Centuries of Financial Folly"の紹介を兼ねた講演だった。This time is differentは、今回の金融危機は100年に一度とか言われるように特殊性を強調して、特に政府の資本注入による救済を正当化するためによく使われた表現。この本のタイトルは、一種の反語で、This time is differentとは言うけれど、実は過去8世紀の危機のパターンと同じ普遍的なものだというのが主張。さらに、膨大なデータを元に、既に危機は脱したと言う米国の政府や経済界の論調にも反論している。例えば、1974年以来、5つのBig Crisesがあり(1992年の日本を含む)、いずれも住宅価格の回復には数年はかかっていている。日本は以来17年も成長回復に至っていないとのこと。景況判断の定義はおいておいても、実際のところ、Great Depressionの再来のような危機は脱したとの認識はみな共通で、次に継続的な成長回復基調に戻れるだろうか?というのが関心の的になっている。会場から、規制の是非や過去の反省から何を学べるかについて質問があったが、経済学者としての見解が述べられたのみで、新しい金融システムのあるべき姿については簡単には誰も答えが出せないようだ。