2010年3月30日火曜日

ICCP: BigShot (手作りデジカメ)

ここ3日間、ICCPというカメラ技術に関する学会がMedia Labであり、授業の合間に気になる講演だけ聞きにいった。一般向けで面白かったのは、手作りデジカメの教育プロジェクト。Google他がスポンサーとなって、ColumbiaのShree Nayar教授が手がけ、ベトナムや中国の他、日本の子供達も参加している。科学に興味を持つきっかけ作りを目的に、子供達がデジカメを手作りで組立て、3Dステレオ像や魚眼などの写真を撮って遊びながら、Webでカメラの仕組みを自然と学ばせるように工夫されている。カメラ自体は、OLPC (one-laptop per child)のように手巻きで充電できる点を除けば、普通のシンプルなデジカメである。そのスペックよりも、教育効果に重点が置かれている。販売するメーカがいれば是非声をかけて欲しいとのことだったが、デジカメメーカだけでなくプリンタやフォトフレームとのセットも可能で、知育玩具として市場がありそうな印象を持った。http://www.bigshotcamera.org/

2010年3月29日月曜日

インターン

インターンの話といっても、まずは10年以上前の大学生時代の思い出から。インターン先で受けたアドバイスが、その後のキャリアを切り拓く礎になった話を同級生の友人から聞いて、私も学生時代を思いだした。当時、大学の学科事務室が就職全般を管理していて、インターンは学科のリストから抽選で選ばれた。私は破格の日給1万円で鉄道会社に当選したはずが、鉄道が生き甲斐の同級生の泣き落としに遭い、日野のとあるメーカに代えられた。仕事自体は車載部品の実験で、大学のそれとたいして変らなかったが、会社でのマナーやエンジニアとしての心得を学べたように思う。朝の挨拶から机上の整理整頓(書類は机に垂直に)など、最近はうるさく言わなくなったことまで、学生相手の気楽さから指導される。一方、グループ長が朝礼で特許を書けと毎朝繰り返し、そのうち業務命令で書かせると脅す光景は、今でもどこのメーカでもありそう気がする。以来、何でも「これは特許になるか」と反射的に自問自答する習性が抜けない。
MBAのインターンは、就職活動の第一関門になっており、1年生のうちに意中の企業のサマーインターンを獲得して、そのまま卒業後のオファーをもらうのが理想。また、社費派遣の場合、転職の意思によらず、自社と違う業種の研修プログラムで長い夏休みを有意義に過ごす人もいる。ただ、企業側に採用のメリットがなく、社費派遣生を受け入れる会社は非常に少ない。Sloan Fellowsは、夏休みがないのでインターンの話は全くなく、この春休みの間、国に帰って職探しという同級生は多かった。

2010年3月18日木曜日

15.915 S-Lab 会社訪問

CA Trip最終日。Tripのバイオ関連企業の訪問に代えて、S-Labのプロジェクトホスト企業を訪問する。15.915 Sustainability Labは、H1のケースベースのレクチャーに続いて、H2に4人チーム毎にプロジェクトホスト企業がアサインされる。私のチームは、サンフランシスコの全てのゴミ回収を行う会社で、リサイクリングの先進的な取組みで知られる。半日で、同社の本社で色々と話を聞いた後、同社のリサイクル施設を見学した。
本社の方は、都市工学系のPh.Dホルダも多いエキスパート集団の様相。ホスト企業側の担当者が、MBA2009のAlumnaで去年にS-Labを取っているので、話は抜群にしやすい。彼女とプロジェクトの話をしていると、Life cycle全体での環境負荷を考えるフレームワークや、資源のClosed loop化(再利用化)の重要性と課題など、思い出せばH1のケースで読んだり聞いた話が役立つ。授業を取った人同士では、使う用語の概念の共通認識が既にあるため、非常に話がスムーズだった。SloanのLab系の授業は、素人向けによく工夫されていると改めて思う。人には学び方の得意不得意があると思うが、私はアカデミック的な理論だけで理解できず、業務経験と照らし合わせて選択的に理解するタイプのようで、Sustainabilityのように初めて学ぶ分野はLabで挽回できとよいのだが。
さて、実際の施設見学の方は、ゴミ回収の現実問題をありありと見せ付けられた。まず、ゴミの量。一人あたりのゴミ排出量は、アメリカは日本の2倍も多い。さらに、日本でも市町村で分別方法は異なるが、アメリカは全く分別しないSingle Streamの割合が高い。テキサスにいた当時、最初は罪悪感があったが次第に無頓着になったものだ。また、リサイクル率は、見かけの数字は日本よりアメリカの方が2倍ほど高い。実際は、アメリカは焼却処理で圧縮せずにそのまま埋立てに回すため、割り算の母数が5倍近く違いアメリカの方が低い。サンフランシスコは先進的で、リサイクル率が50%を超えているが、同社はWaste Zero (100%リサイクル)を目標にしている。リサイクル施設のオペレーションは、マニュアルによる単純ソーティングで、紙、金属、ペットボトル、ガラス等を再資源化する。
これまでは、各資源のリサイクル率だけを目標にしていたのに対して、今後は、どの資源にフォーカスして施策を打つべきかが、S-Labプロジェクトの主な提案内容になる予定。その答えを出すためには、各資源の製造から利用までのサプライチェーン全体を見た上で、どの資源がGHGなどの環境負荷観点で、リサイクル化の恩恵が大きいかを比較可能にする必要がある。会社見学のおかげで、製造業としての責任感が実感できたためか、Sustainabilityをより真剣に考えられた点は大きな収穫だった。

2010年3月17日水曜日

CA Trip 3日目 (Facebook, eBay)

CA Trip 3日目。Facebook, eBayと、ソーラパネルのスタートアップ企業を回る。
1社目のFacebookは、大学のクラスメート内のSNSから発展して、いまや世界中の大学生・高校生の人気サイトとして、Google, Yahoo, Microsoftに次ぐ、アクセス数を誇るとも言われる。Palo Altoの目立たないエリアにある同社を訪問した。自分と年がそう変わらないエンジニアのTopが講演者。FallのAlan MacCormackのクラスで、同社のケースを読んでレポートを書いていたこともあり興味があった。Facebookは毎日のように新しいアプリケーションが公開されているが、同社のエンジニア数がMicrosoftの100分の1程度であるとすると、驚異的な開発速度だ。それを実現する企業文化として、いかに挑戦的な目標を多数生み出すか、また、早く失敗して学ぶか、という実験型Innovationで知られる。少数精鋭のエンジニア一人ひとりにそういった業務目標を課すとともに、Localizationをほとんどやらない割り切りが成功のポイントのようだった。
2社目は、ソーラパネルのスタートアップ。環境へのやさしさといったDouble bottom line的な話を聞かされるかと思っていたら、全く違ってビジネスライクだった。Renewable Energyは、政府が作り出した特需で"Energy is absolutely politics."とあっさり言い切り、さらには、VCがこの分野にじゃぶじゃぶに投資しているからCash burningを続けても生き残れるとの自信には驚いた。製造ラインを見学させてもらい、非常に単純な工程で驚いた。見学していた時は、薄膜シリコンだと勘違いしていたのだが、基板の色が黒かったので変だなと思い、Webで調べなおしたら化合物系の一種でCIGS型と呼ぶものだった。工場の設備も簡易そのもので低コストを強調していて、中国製でワット25セントという話もあるのだとか。講演者のCEOが急用で不在だったせいで、テクニカルな話が多かったが本音が聞けたのはむしろよかった。
3社目は、eBay。コンサル出身のVPで、プレゼンスタイルが独特だった。机をたたいて怒った演技をするかと思えば、質問を答える前に敢えて長い間をとり当たり前なことを重みがあるように語ったりと、聴衆を魅了する上手さがあった。そのスタイルを中東出身の同級生が絶賛していたが、日本では政治家でもない限りやり過ぎな印象もあるが。講演内容は、eBayは買収したPaypalをオンライン決済のスタンダートにしつつ、C2CのMarket Placeを握りたいようだった。
CA Tripも私は水曜でおしまい。サンフラン滞在中はアジアンを食べ歩き、やはり西海岸は食べ物が美味しい。日曜夜に一人遅くホテルに着いて、チャイナタウンに向かっていた所、それを聞いた同級生がわざわざ電話をくれて、もう店が閉まってるだろうからと、彼がR&G loungeから持ち帰った夜食をもらった。月曜は、ジャパンタウンへ出かけ、先に入ったラーメン屋はいまいちだったが、焼肉屋はちゃんと日本の焼肉だった。水曜も、ジャパンタウン近くの韓国料理屋で、辛いジャーメンを食べた。

2010年3月16日火曜日

CA Trip 2日目 (Yahoo)

CA Trip 2日目は、Yahoo! CEOのCarol Bartz氏との対話。2008-2009年の一連のMicrosoft, Googleと三つ巴の買収・提携話で揺れる中、Jerry Yangから舵取りを任されたのは、60歳にしてAutodeskからYahoo!に移ったシリコンバレーの大ベテラン。ざっくばらんな話しぶりで、Board membersを自分との相性で選んでいたり、コミュニケーション型のトップだった。Yahooは創業15周年を迎え、シリコンバレーでは古い企業の仲間入り。Innovationのカルチャーを維持するため、従業員に階層を超えたフィードバックを促す工夫などを導入しているとのこと。
驚いたのは、我々の訪問を歓迎するための会場設営で、レッドカーペットの代わりに、ヴァイオレットカーペットが敷地の入り口から会議室まで続く。所々に、SloanとYahooをCo-brandingしたロゴや、Sloan Fellows様ご一行歓迎!を表す色々なメッセージがある。写真はその一つ。

2010年3月15日月曜日

CA Trip 1日目 (Agilent, Oracle)

Sloan Fellowsのカリフォルニアトリップ(CA Trip)へ。シリコンバレーのスタートアップ(Facebook)やITメジャー(Oracle, Yahoo!, eBay)の経営者との対話を通じて、Innovationに必要なLeadershipを学ぶことを目的とした、サンフランシスコ4日間のトリップである。Sloanは秋学期同様にH1とH2の間にSIP期間を設けており、Sloan Fellowsはその期間をこのTripに充てている。既に仕事や観光でサンフラン周辺は行き尽くした感はあり、日曜夜発~木曜夜戻の短期滞在にしたが、何度行ってもIT企業の雰囲気と温和な気候は居心地が良い。
1日目は、朝食後にMIT卒のDust Network社CEOが、スタートアップの心得を話す。NortelでMarketingの経験もある彼女いわく、TechnologyとSalesの両方の経験が、起業後に大きく活かされているとのこと。FallのTech Salesのクラスや各種Forumでもよく聞いた話だが、VCからいざ資金調達に成功したとして、ファーストユーザを如何に早く獲得してCash Burningを凌ぐかが、営業力が成功の分かれ道になる。CEOが自分で営業しない場合、業界から凄腕の営業マンをいったんハントしたら、会社の命運をその個人の能力に託すことになる。
2社目は、Agilent Technologyを訪問し、CEOとの対話。電子系エンジニアには馴染みの深い会社で、私も学生時代のオシロスコープに始まり、ネットワークプロトコルアナライザ、PCI Expressバスアナライザなど、Hz帯から10GHz帯まで同社の計測器と戯れた縁。最近は、食品の安全をテーマに原子同定の計測器も扱っているようだ。講演者のCEOは、分社前のHPに続き35年以上Agilentに勤め上げたエンジニア出身。それらしく、プレゼンとQ&Aも冷静でロジカルな印象。同じようなキャリアを歩むと思うと、私は親近感も湧いたのだが、他の同級生は別の感想を持ったようだった。製品が地味なハンデを全く感じさせず、事業戦略をマーケット視点で語るプレゼン技術は、参考になった。
3社目は、Oracle。Communication部門のGlobal GMが講演。Sunの買収に合わせて垂直統合を進めながら、業界別にソリューションを水平展開していくという同社の戦略を紹介していた。話の流れが分かりにくく、講演者自身もOracleに買収された企業の元CEOで、会社のビジョンが社外に発信可能なレベルまで統制されていない様子が伺えてしまった。TopのCEOは、攻撃的な発言とVisionで知られているが、過渡期とはいえ、スタッフ組織が弱いと社内にもそのVisionが浸透しないもので、M&Aで大きくなった企業の統治の難しさを感じた。

2010年3月12日金曜日

HBS1570 DBIC 电动汽车

中国の自動車市場は、2009年に販売・生産台数ともに、それぞれ米国・日本を抜いて世界一の座についた。完成車輸出はまだアジア圏にほぼ限られるが、部品輸出は主に米国向け。今日のケースは、Universal Jointで成長した、業界外には無名の中国の部品メーカの話で、米国メーカを買収し、さらには电动汽车(簡体字で書いた電動自動車の意)まで、バッテリを自社製造して完成車を作ってしまった会社である。中国は、人口密度の高い都市が多く、空気汚染の問題もあって、ハイブリッドではない電気自動車の有力市場とされている。中国には100を超す完成車メーカがあり、ハイブリッドより構造が簡単な電気自動車を商用化した中国メーカも数社ある。
その中国メーカからゲストスピーカが来ており、期末ペーパの参考に、授業のあとに質問してみた。電気自動車は、今のところ政府の補助金だよりのビジネスだが、普及の鍵は技術の成熟化で、5年後くらいのタイムスパンでは急速に普及が進むと見ているとのことだった。

2010年3月10日水曜日

HBS1570 DBIC TSMC

DBICのケースで初めて、台湾企業を取り上げる。相変わらずビジネススクールらしくないというか、台湾の政治経済の歴史背景を纏めたケースが別に一本用意されている。授業は、Is Taiwan part of China?という極めて政治的な質問を、各国の学生に答えさせ、アメリカ人学生にもその微妙な本音と建前を理解させるところから始まる。中国の学生からは、台湾と中国は言葉や食べ物を含めて文化も一緒だから自然と一つになるべきという、大陸で教育を受けた人なら誰に聞いても全く同じ返事になる。一方、台湾の歴代首相の大陸政策の変遷を見ると、台湾におけるChinaという単語の意味が、最近では大陸側という地理的な意味を持つに過ぎなくなりつつある。
政治問題がある中、台湾企業の大陸ビジネスは、1987年に戒厳令が解除されて以来、地理的に近い福建省や広東省から進出が進んだ。それでも、半導体業界は、最先端技術の輸出規制の影響で中国で立ち上がりが遅い業種の一つ。いまやFoundary企業としては世界シェアの半分近くを握る台湾のTSMCが、2003年に上海工場を発表した当時は非常に注目され、一つの転機だった。TSMCの母体は、台湾の数々のIT企業の成功の元になった政府系の研究機関ITRIで、Texas InstrumentからCEOにMorris Changを招いて、新竹に第一工場を1987年に立ち上げた。米国西海岸Qualcomm, nVidiaなどから製造を請負うFoundaryビジネスの先駆けで規模を急拡大し、新竹に続き台南にも大きなFabがある。上海工場は、規制の影響で古いプロセスと中古の製造装置しか使えなかったものの、新竹からFab移転が進み生産規模では主力になりつつある。TSMCのケースによると、半導体は製造費に占める労働コストの割合が8%と小さく、大陸進出のメリットは顧客のサプライチェーンに地理的に近いこと。また、中国の優秀な技術者の確保と、将来の中国Fablessメーカの立ち上がりへの先行投資でもあるようだ。
経済的な利点があるとはいえ、上海進出の理由を聞かれたTSMCのある経営者が"To get out of Taiwan"と答えたという話には、耳を疑った。NYSE上場企業とはいえ、規制の厳しい本国への容赦ない姿勢は、日本企業には見られない。日本の半導体メーカは、前工程工場の海外立地はむしろ縮小傾向にある。これは、最近は最先端プロセスへの集中投資が主になって、技術流出を防ぎつつ、国内の顧客と設計部隊との連携に重きを置くためと言われているが、ガラパコス化という批判も一方ではある。旧世代Fabの海外移転は、一企業としては多少の経済合理性があるかもしれないが、国としてはGDPが海外に移りマイナス。世界的に競争力のある産業が他に育たないと、その雇用を代替できない。日本と台湾はその点で今や共通の課題を抱えており、台湾企業の年輩の経営者と話すとよく心配していたのを思い出した。

2010年3月6日土曜日

15.617 Basic Business Law - Tilted Towards Finance

課題の多かった今週も、15.617 Business Lawの1st Examを金曜夜にようやく終えた。Business Lawは、15.615, 616, 617と3つあり、前半は共通してTort法、PL法、契約法などを題材に、ビジネスマン視点で英米法の基礎を習う。後半はコース別にケースが変わって、私が取る15.617はFinance寄りでM&Aや債券の法制度を扱う。フルタームだが、2回テストがあるだけでワークロードは軽い。授業内容もコンパクトさ重視で、Akula教授が最低限の法律知識を纏めたPeanutと呼ぶメモを最初に読み、そのコンセプトを判例をケースに理解していくステップになっている。ケースも、米国現法で遭遇しそうな問題もあり、マネージャとして会社と自分を守り、法律的に正しく対処する術のヒントが多い。
日常的な仕事でも、特に契約法でどの範囲の損害まで賠償請求できるか(されるか)の原則は、商談で契約を詰めるときに頭に入れておきたいと思った。通常は業界の商慣行で分かることも、新規事業は前例がない契約の雛形から自分で作るため、原則から考える必要があるが、今までその理解が甘かったことを実感。既存取引先とも商品固有の売買契約を結ぶのか、技術サポート部分を売買契約の保証の一部にするのか新たな技術契約にするのか、不良品や知財の扱い、代理店の関わりなどなどは、事業リスクと時間・手間のバランス次第で経験的に決める。商談の大半の時間は、契約の条項一つ一つを関係者で集まって交渉して、後で社内法務に相談するとはいえ、たいていは当事者間で判断が求められる。

2010年3月5日金曜日

15.913/915 Sustainability Lab (S-Lab)

Sloanの看板授業の一つであるS-Lab。Sloanは、Labと名のつくプロジェクト形式の授業が多く、G-Lab, L-Lab, E-Lab, D-Labと色々。Sustainabilityと呼ぶ持続可能社会をテーマに、Climate Changeや資源枯渇をSystem Dynamicsを使ってJ. Stermanが解説したのに始まり、Nike, Herman Millerなどリサイクル率を上げる取組みのケースを学ぶ。H1の15.913 Strategies for Sustainable Businessのケースディスカッションに続き、H2の15.915 Laboratory for Sustainable Businessは企業相手のコンサルプロジェクト。企業戦略の中でのSustainabilityは、ケースではもてはやされても、実態としてコストの位置づけを出ないので、興味が湧きにくかった。一方、プロジェクトは、サプライチェーンを見るのがメーカ出身としては面白く実用的そうだったのでH2も続けることに。チームを作ってBidした結果、サンフランシスコにある資源再生の会社になった。チームのメンバは、私以外の3人は資源再生の経験者で、希少金属回収プロセスでPh.Dを取ったりNPOやインターンで勤務経験もあるので心強い。私もこの機にTVや携帯電話など電気製品の廃品回収から資源再生まで一通り見ておこうと思う。S-LabはG-Labと違い、通常はリモートで現地実習はないのだが、ちょうどSloan Fellowsのカリフォルニアトリップでサンフランシスコに滞在するのに合わせて、見学させてもらう予定。

2010年3月4日木曜日

15.371 i-Teams

i-Teamsのプロジェクトは、授業中にチーム単位の簡単な演習を通じて進む。H1の間にも、Application Map, Functional Analysis, Value Chainをそれぞれレポートで提出して、段階的にプロジェクトの技術評価やビジネスモデルを検討できるように工夫されている。並行してクラス外でも関係者と会うことが求められる。今週は、シーズ技術を開発したメディアラボの教授とプロジェクトの方向性を相談したのに加え、この技術の商用化を目的に起業したベンチャーをボストン郊外まで出かけて訪問した。このベンチャーはまだ数人の陣容だが、開発の実作業を実質一人で進めるエンジニアがまだ19歳というのは驚きだった。しかも彼は、HarvardのBachelorを3年も飛び級して既に卒業しており、この仕事を選んだという。感情認識技術という、心理学、バイオセンサ(EE)、プログラミング(CS)の3つの才能を要する学際的な領域で、ディスカッションしていても、技術とビジネスとも博識で話が一貫している。IBM Watson研を含め世界中のエンジニアを私が仕事で知る中でも、彼は突出したものを持っていた。
この打ち合わせが長引き、夜にVogel塾に遅れて参加。今回は、教育グループと合同で、飛び級を含むアカデミックパスの多様化がちょうど議論された。日本でもHarvardの彼のような人材がベンチャーを選ぶような教育システムに向かっている。

2010年3月2日火曜日

15.281 Advanced Managerial Communication

春学期の選択授業の一つである、15.281 Advanced Managerial Communication。毎回、仕事の一場面を想定したロールプレイの時間があり、質問の受け答え方から立ち姿勢までお互いにフィードバックする。秋のTech Salesがone-on-oneで話の中身に重きを置いたのに対して、このクラスでは主に大勢の聴衆相手にプレゼンする表現方法を磨く。今日は、Hostile audienceという敵対的な聴衆を前にしたロールプレイ。聴衆側のクラスメートが、結構な迫力で意地悪な質問を浴びせる。これに対して、いかに落ち着いて論理的に、ときには相手に共感しながら対応するかを練習する。アメリカ人は皆、役者になりきって楽しんでいる。プレゼンターが自由に状況設定してよかったので、私は重電メーカの広報担当として、原子力発電所の建設計画を、ローカルの環境活動家を相手に説明する設定にした。原発の仕事の経験はなかったので、オバマ大統領が30年ぶりに新規建設を承認した演説のイメージで、Clean & Safe, Energy Mix, Job Creationをキーワードにメリットを説き、さらに絶対の安全性をテクニカルに語った。質問内容は想定内だったが、矢継ぎ早に来る質問を順番に捌きつつ、時には相手を制してでも正論を最後まで言い切るところとか、広報担当風に初めて演じてみると、同じ守勢の立場でもセールスのプレゼン方法とは、だいぶ違うものだと色々実感するところがあった。