2010年4月30日金曜日

15.617 Business Law (Final exam)

Business LawのFinal Exam。Business Lawの授業は、学期の前半は教授の講義メモと判例ケースでTake awayが明確だった。後半はゲストスピーカが続き、Bankrupt, Trade Secretなど各テーマの専門家が実例に即しており、興味深い話もある。ただ、Readingの宿題がなく、講義のアウトラインもないと、話の流れをフォローするのが難しいこともあった。逆に、Finance系のバックグラウンドがない人も想定しているため、CDSの仕組み等の一般的な話が長く続いて、多くの学生が明らかに退屈していたこともあった。Distress Investmentの戦術とその法律の講義の回は、聞き応えがあった。春学期に入って、HBSのVCPEの授業は結局履修できず、PEの分厚い教科書(ケース集と解説)を手元においててあったものの、なかなか読み進まず、卒業まで時間切れになりそうだ。

2010年4月29日木曜日

Heifetz講演

今週から来週にかけてプロジェクトもののレポート締切りが続く。今日が一番の山場で、HBS DBICのファイナルペーパ(中国EV市場)と、Power&Negotiationのグループペーパ(Healthcare reform)の締切り。ElectiveはMBAと極力組んでいたが、P&Nは仲間うちのSFメンバだったので話しやすく、私が作業できない期間もフォローしてくれ助けられた。残りのTo Do Listの大物は、明日のBusiness LawのExamと、来週のS-Lab, i-Teamsのプレゼンとレポートを残すのみで、いよいよ卒業が見えてきた。
今日の特別講演は、リーダシップで有名なケネディスクールのHeifetz教授。1月にケネディの授業を取った夏学期のチームメートが直接段取りして、ハイフェッツ教授をMITに招いた。なんでも、MITでPh.Dを取ったときに、若きJohn Stermanと一緒にシステムダイナミクスを学んで以来、MITでは講演する機会が一度も無かったとか。教授は、ケネディ創立以来、28年間教え続けており、破天荒な講義スタイルで知られるが、講演はよく纏まって内容も濃かった。そのコンセプトは和訳本にもあるとおりだが、ドイツ(EU)のギリシャ救済など時事問題に話題を広げながら、実践的に分かりやすく解説していた。MITで教えるPeter SengeやJohn VanがDistributed Leadership寄りの一方で、ハイフェッツはAuthorityにどう向き合うかをまず論じていて、Public Serviceを扱うケネディらしい印象を持った。Adaptive Workとして、組織がいつの間にか現実を目標にすり替えて現状追認する傾向が指摘されていた点は、はっと気づかされた。目標をまず定義した上で、問題を正しく診断するタイプの人間は少なく、実際にその難しさは、仕事でもキャリアプランでも感じさせられる。

2010年4月28日水曜日

15.371 i-Teams (infant monitoring)

i-Teamsのプロジェクトは、ある要素技術を元に、色々なアプリケーションの可能性を調査している。そのひとつが、Infant Monitoring. 遠隔カメラとモニタの$100しない家庭用セットが、アメリカでは結構売れている。欧米には、新生児のうちから両親と寝室を分けることで、子供を早く自立させる伝統があり、子供の寝室をリモートモニタリングしたいという日本にはないニーズがある。イギリス出身の教授も、5歳の時には家もすでに両親と離れていたとのことで、上流階級は寄宿制学校に入れる慣わしなのだろう。夜に子供の様子が心配で、その寝室を親がわざわざ鍵穴から覗くなんていう話まであるくらいだ。このような単純なモニタリングやそれへの認識技術の応用の最大のライバルは、人間による観察。子供が泣いている理由は、高度な認識技術で判定しなくても、親なら習慣的な勘で分かってしまう。欧米のInfant Monitoringは、生活文化の特殊性がニッチなリモートモニタリングの市場を生み出した例だ。
もう一つ、Infant Monitoringの例はセキュリティ。アメリカの病院では出産直後に赤ん坊の足に、ID付きの小型センサが装着される。心拍数を常に無線で送るようになっていて、万が一の誘拐対策になっている。セキュリティはコスト無限大で、市場が存在する例になっている。

2010年4月19日月曜日

Research Tips

今日のPatriot Dayを含めてMITは4連休。春学期も終盤になり、プロジェクト(iTeam, S-Lab)やファイナルペーパ(DBIC)が佳境を迎えている。いずれも過去、仕事でも関わったことがない産業と地域が対象なので、纏まった時間を使って調べ物を続けている。秋学期のG-labでは、いまいちMIT(SloanやLibrary)が提供する情報リソースを活用できなかったが、何度かやってコツが分かってきたので整理しておく。

- Capital IQ, Hoover
会社の名称で検索すると、会社の登記情報、規模(売上、従業員数)や連絡先が分かる。Webにないスタートアップもリストに載っており、競合企業の概況を把握したり、メール取材の候補リストを作るのに活用できる。Sloanpoint(学生向けWeb)のCDO (Career Development Organization)から利用。

- Factiva
Wall St. Journalをはじめ、各種ニュースリソースをキーワード検索して、関連性の高いものから纏めて読める。ごく最近のトレンドを押さえたり、プロジェクト物のレポートを書く際に引用するのに重宝する。同じくCDOから。

- Market Insight
S&PのIndustry Reportが読める。業界構造を理解するのに最適。Country reportも使える。同じくCDOから。

- Google Scholar
論文検索。Public domainから利用可能だが、検索結果がMIT Libraryの蔵書と連動していて、オンラインでPDFで読めたりハードコピーの取寄せもできる。

卒業後に使えなくなるのが残念だが、職場でも同様な環境があるはずなので、有効活用するコツが掴めたのは収穫だった。例えば、半導体の汎用品の製品企画には、色々な応用分野が潜在顧客になるので、コンサル並みに自分が未経験の産業を早く広く理解することが求められる。i-Teamsのプロジェクトで米国の複雑な医療保険制度を調べた知識が、他のクラス(Power&Negotiation)で役立ったり、コース間で業界を異なる視点で横断的に見えると、また面白くなってくる。

2010年4月16日金曜日

MIT PE Symposium

MIT VCPE Clubが主催する、PE Symposium (プライベートエクイティシンポジウム)を聞きに行った。Mega Fundのパネルには、カーライル、ベインキャピタル、THL, Warburg Pincusという、いずれも$10Bを越える投資規模を誇る大型PEが揃い、モデレータがテンポ良く進行していた。どのセクター(産業、国)にフォーカスするかという質問には、どのセクターにも成長余地が高い案件があれば投資するという回答だったが、代表例として米国のhealthcare reformが上がった他、Tax incentiveが大きいElectric Vehicleが2010年の期待案件として話題に上がった。また、Management FeeをLP(投資家)に課す是非については、Operationに関与する必要経費という原則論を踏まえた上で、あるPEはExit後にManagement Feeの50%はLPに還元している(おそらく成功案件のみ)とのことだった。Management Fee 2%と成功報酬 20%というPEの手数料が金融危機後に下がりつつあると言われているが、Mega Fundも例外ではないようだ。
PEに興味のあるクラスメートが多く参加していたが、特にSFは年齢も高い分、就職戦線は厳しいようだ。その高額の手数料に拠るボーナスへの期待に加えて、MBAのStrategyとFinanceの両スキルを活かせる点で挑戦心をかきたてられるのだろう。

2010年4月15日木曜日

15.665 Power & Negotiation (Multi-parties)

木曜夜のPower & Negotiationでは、今日がはじめて、複数パーティの交渉術だった。1対1の交渉では、Win-winを前提に合意を目指して両者とも交渉に集中できて、比較的簡単だった。一方、3人以上の交渉では、誰と組んで誰をのけ者にするかを巡っての駆引きが最初に入る。一部のパーティで利益を山分けにしようといったん同盟しても、のけ者にされたパーティがより有利な条件を提示して、同盟を切り崩しにかかって、これが延々と続く。授業では、関係者全員で合意するのが安定な状態と説明された。また、実際のビジネスで同盟が出来るのは、会議に先に着いた者同士や、休憩の合間の雑談で、人間的な好き嫌いに拠る信頼関係が重要とのことだった。
次にシミュレーションしたケースは、港湾開発者のパブリックヒアリングに対して、環境団体、労働組合、銀行、競合事業者、議員の5人から、4人以上の合意(1人はのけ者OK)を取り付けるものだった。私は環境団体の役で、交渉前にケースを読むと、他のプレーヤが経済的興味を持つ一方で、自分だけが他に誰も関心のない環境問題なので、必然的に合意の輪から外され易い立場だった。ケースでも、自分と直接利害の無い項目にも議論に積極的に参加するように指示があって、そのおかげで議論の中で信頼関係が自然と出来上がり、最終合意からも外されずに済んだ。自分に利害のないテーマに私は干渉しない主義だが、黙っていると仲間外れにされる危険があるという、実に実践的なTakeawayだった。

2010年4月14日水曜日

Golf アイアンの飛距離

今日も天気が良かったので、午後から打ちっぱなしへ。レキシントンのドライビングレンジは西向きなので、いつも夕方は眩しかったが(その分、空いているが)、早い時間で快晴だとボールが見やすかった。これまでのラウンドでは、セカンドショット以降は、その日の気分でいつも同じアイアン(8Iとか)を持って、力の入れ具合で飛距離を調整していたのだが、PW以上の距離は番手を変えて全く同じスイングで振るのが正統だと遅ればせながら知った。練習ではこれまでも、5I以下は同じフルスイング(スタンスも同じ幅)だった。というわけで、番手ごとの平均距離を目測してみたら、以下のようになった。
Driver 180+ yard
Fairway wood 160+
3I 150+
4I 150+
5I 130
6I 120
7I 110
8I 100
9I 90
PW 80
Webで見つけたアマチュア男子の平均距離と比較すると、30 yardほど短い。スイートスポットに当たったときは、20 yardくらい平均より伸びるが、それでも一般の平均より短いようだ。反対にミスショット気味だと20 yard以上短くなる。ここのところ、金曜だけ天気が良くなく、先週は雨で流れ、今週もどうなることか。晴れますように。

2010年4月13日火曜日

キャリアゴール

今週はSloan Fellowsに今年入学される方々のApril Orientation期間で色々とイベントがある。早いもので、初めてSF10の同級生達と顔を合わせて1年たった。あの時は家探しが話題だったのも、卒業が間近になって、最近はクラスメートに会えば卒業後の仕事の話題が多くなっている。今日は、期待していたProject Financeに関する講義が無く、時間が空いてしまったので、友人とチャールズリバー沿いを男同士で散歩することになった。先週に桜やモクレンがピンク色の花が満開だった並木通りも新緑に変わり、散歩日和だった。
その彼は、会社に戻るオプションもあるが、転職するのも自由の身。日本人の社費組と同様に、会社に戻った後のポジションや職種を交渉しているそうだが、その上司が他部門のポストを紹介するのに腰が引けている。ずるずると引き延ばされて職場に戻ってから交渉するとなると、気づけば留学前と同じ自分に戻ってしまう状況が怖いようだ。また、欧州企業で本国から送られたトップマネジメントが要所のポストを押さえるため、ローカル出身の彼には、ローカルな仕事しか任されない不満もあるようだ。日本でも、海外を視野に入れた仕事がしたければ、外資系よりも、メーカや商社に入った方が機会も権限も多いのと同じ図式のようだ。
PEへの転職に興味があるが、やはりリモートでの就職活動には限界があるようで、本格的に始めるのは帰国後になってしまうらしい。PEは、投資銀行歴の長い彼にしても、最初の入り口の敷居は相当高いが、一度その業界に入ってしまえば、ネットワークができてその中で転職しやすい業界のようだ。PEは、MBA後の就職先として人気が高いが、キャリアゴールは、早く引退するか事業会社の経営陣に迎えられることになるのだろうか。それだと、事業会社でCFOに内部昇進する方が近道なんじゃないかとも思える。
そう聞いて、卒業直後の進路は色々あれど、最終的なキャリアゴールをこの機に考えなくてはと思う。彼いわく、不思議なもので、ゴールさえ設定すれば、自然と行動がそれに従いやがて適うものだ。こういう仕事がしたいとか、いつかMBAに行こうと思っていたら、運はあれど時間が経てば現実になる。現実に達成するたびに、新たなキャリア目標を設定しなくてはいけないが、目標となる人を見つけるのもだんだんと難しくなっていく。

2010年4月3日土曜日

Golf Newton

Spring Breakの頃から、ボストンは暖かい日が続いている。シーズン再開を皆、待っていたかのように、ドライビングレンジは、週末は朝から結構、混んでいる。今日でかけたNewtonの住宅街にあるコースも、絶好の陽気に恵まれたものの、混雑でスロー進行だった。先週のFresh Pondが雨の中、2人貸切状態でハイペースだったのとは大違いである。春休み中の打ちっぱなし通いのおかげで、アイアンが方向と距離ともに多少、安定してきた。ショートホールは、あわやホールインワンのバーディを含めて、ワンオン2回と好調だった。一方で、ドライバが前半からOB連続のビッグイニングが多く、スコアは情けないほど進歩しない。あるWebに、120を切るにはドライバを封印するのが近道とあって、たしかにそうだと思ったが、スコアよりやはり楽しさを優先したい。あと、Newtonのコースは、フェアウェイでも起伏が多くて、アドレス姿勢が不安定になり苦労した。運動不足解消でプルカートにしたところ、アップダウンが激しくしんどかった。同級生は、マナーをあれこれ教えてくれるのだが、95年頃はサングラスもダメだったらしい。今度は空いている平日にまた行ってみたい。

2010年4月2日金曜日

15.268 Choice Points (Copenhagen)

今日のChoice Pointsは、スペシャルゲストとして、ノーベル物理学賞を1990年に受賞したフリードマン教授が参加した。MITには、Novel Prize Winnerの教授は多く、講演を聞ける機会はあるものの、少人数のクラスで話ができたのは初めて。
今回の映画は、比較的新しい戯曲の「コペンハーゲン」。1941年、ナチスドイツ占領下のデンマークに、量子力学でともに有名なボーアをハイゼルベルクが訪ね、二人のセリフで物語が進む。ボーアは、デンマーク人でユダヤ系でもあったため、幽閉生活を余儀なくされた一方、かつてその弟子だったハイゼルベルクは、ドイツ人として原子力研究の第一人者だった。史実では、この二人は当時、会ったが、何を話したかは謎とされている。これがドイツの核兵器開発計画の可能性を知る一端になるため、色々な解釈をされ、それ自体が一種のコペンハーゲン解釈になっている。量子力学におけるコペンハーゲン解釈というのは、波のように存在確率が広がる量子が、いったん観測をすると、粒子のようにある場所に収束するものの、観測前にどこに粒子があったかは分からない、という、ボーアが提唱した量子力学の考え方。つまり、過去の真実を解釈しよう試みても結局分からないというアナロジーになっている。その原理を、ゲストのフリードマン教授自らが、光子スリット実験を例に説明してくれたが、文系が多いFellowsやPartnersには難しかった。私も、ボーアの哲学的な会話の中に、相補性とか量子力学の色々なアナロジーが散りばめられていたことに授業で気づかされた。物理が好きな人には、おすすめの映画である。
当時の会話の一つの解釈は、ハイゼルベルクがボーアに、ドイツの核兵器開発に協力を求めたというもので、映画では、その表向きの口実として原子炉の平和利用を上げていた。史実でも1941年の時点では、プルトニウムの存在が公知でなく、ウランでは臨界状態に必要な量が多すぎて、ハイゼルベルクは兵器利用には懐疑的だったという見方もある。もし、ハイゼルベルクがプルトニウムの存在を認識していたならば、その生産のために原子炉を稼動させたかった可能性がぐっと高まる。フリードマン教授は、ハイゼルベルクと面識があったとのことだったので、その点を質問してみた。教授によると、すぐ後の1942年にソ連の研究者がプルトニウム発見を発表しており、ハイゼルベルクはその存在と兵器利用の現実性を認識していただろう、とのこと。しかし、結局、ドイツの核兵器開発が進まなかった主因は、アメリカがマンハッタン計画で科学者を一箇所に集めたのに対して、研究者がバラバラに研究していて、意思統一がされなかったため、とのことだった。

2010年4月1日木曜日

15.665 Power & Negotiation

交渉術の授業もH2に入った。H1では、毎回の授業中に1-on-1の交渉演習を通じて、BATNAやWin-winを目指すといった基本的なコンセプトを習った。H2の1回目は、E-mailで交渉を始めるケース。まだ会ったこともない相手に、自分の意図を紹介するE-mailやFaxを送って、交渉を始めるもの。アジアの海賊版ブランドの生産者に対して、ブランド使用をやめさせるか、権利を売ってしまうか、最終ゴールとしては、色々な戦略がありうる中で、刻々と変わる設定に応じて、脅す、宥める、待つと、戦術を選択する。戦略と戦術の一貫性が大事とはいいながらも、落とし所は友好的解決でも、逃げる相手をテーブルに着かせるために裁判も辞さない脅しが必要だったりと、Powerをタイミングよく発揮する戦術が不可欠になる。また、e-mailだと、待つのも有効な戦術で、いったん強い立場に立ってから数日待ち時間を使えば、弱い立場の相手が焦れてさらに好条件の提案を持ってくる可能性がある。仕事でも良くやる手ばかりであるが、後々に禍根を残さないように最後まで纏め上げる自信と根気が大事で、その程度次第で交渉の入り口で可能な手段が制約されると思った。

HBS 1570 DBIC Google

HBSのDBICも今日で最後。MITでは、まだ春学期後半が始まったばかりだが、HBSの一部のコースでは、通常29回の授業を20回で終える代わりにファイナルレポートが課される。それでも、MITの単位数に換算すると12単位になり、これでG-Lab (9+3)やS-Lab (6+6)と同じなのは、クレジットの重みにだいぶ差がある。HBSでクロス履修してみて、Sloanとのカルチャーの違いとか良し悪しが実感できた。ちょうど先週末は、Sloanの春休み中にHBSだけクラスがあったため、Sloan Fellowsのクロス履修組(Michael Porter, Strategy, VCPE, Leading Teamなど)で飲む機会があり、HBSでの感想を共有した。まず、HBSの学生は若くて非常に優秀で、しっかりとケースディスカッションをしている。基本的なことだが、ケースを読み込み、そのファクトに基づいて、自分の経験や意見をロジカルに発言するスキルが全員、完璧である。その発言から、新しい視点に気づかされることがしばしば。一方で、雇用や外交問題など政治っぽい話になると、アメリカの優等生らしい安全寄りな発言に終始し、平均で10年以上も年上のSloan Fellows達に言わせるとナイーブな議論の印象だった。DBICの例で言えば、HBSでは中国のSudanへの武器輸出は倫理的に正しくないというケースの視点が疑問の余地のないファクトとして共有されたのに対して、SFのコアで同様なケースを議論した時には、他の欧米諸国の武器輸出はどうなんだという議論でひと悶着した。SFでは、成績のための発言は少なく、ケースよりも自分の経験や信念に基づく発言が多いのも特徴で、延々と演説を始めて教授にもういいからと言われてもお構いなしに続ける人もいる。こうなると、どちらがナイーブかは別として、スクールやプログラムでずいぶんカルチャーに差がある。
さて、DBICの最後のケースは、Google(谷歌)の中国撤退だった。西海岸的な自由主義と中国の検閲制度の文化的な対立や、ローカルのBaidu(百度)とのシェア争いなど、DBICに共通的なフレームワークを活かせて、20以上のケースを経た今ではより1月時点では気づかなかった視点を含めて構造的に理解できるようになった気がする。なぜGoogleはセンセーショナルな撤退発表をしたか?という問いに対して、中国国民向けにBaiduとの違いをアピールしてシェアを増やす最後の切り札だったという仮説は、全く気づかず面白かった。