2009年2月13日金曜日

出願戦略

(1) 学校選び

受験活動もRound 1の面接及び合否通知もほぼ終了し、Round 2の数校の面接を待つだけとなった。落ち着いた所で、出願戦略について少し一般化して纏めておこうと思い、先週から何回かに分けて投稿中。受験の心得全般にわたり、一番参考になった情報ソースは、以下の2つの英語の本。

- "How to get into the Top MBA Program"
- "Your MBA Game Plan: Proven Strategies for Getting into the Top Business Schools"

2冊ともおすすめの本。前者は、正統派の基本書で重版を重ねながら常に最新の情報にアップデートされ、海外では定番。後者は、学校のプログラムの概説やQuick Facts (受験対策ではGMAT range, Admitted Ratio, Avg. Ageに注目) がよく纏まっており、出願校の選択を練るのに参考になった。Tipsも俗っぽいが分かりやすい。出願校のポートフォリオは、第一希望、第2希望、安全校とバランス良く選ぶこと。そもそも偏差値があるわけでないMBA受験で、学校の難易度をどう把握するかは簡単ではない。FT/BW等の各種ランキングの全てが受験難易度を反映しているとはいえないが、US Newsのランキングは、ほぼ一般的な人気と難易度に相当すると思う。

http://grad-schools.usnews.rankingsandreviews.com/grad/mba/search

■2008年のランキング
Top2 HBS, Stanford: 不動の2強。General Management志向。 難易度も他の追随許さず。低年齢化著しい。
Top3 PENN Wharton: HBSと並ぶ伝統校Whartonを含んでTop3も不動。
Top10 MIT Sloan, NW Kellogg, Chicago, Tuck, UCB Haas, Columbia: Top10はここまでが定番。Finance/Marketing/Entrepreneurshipなど専門性や学校の場所によって好みも分かれる。
Top20の中では、Michigan Rossがここ数年ランキングを上げている他、Johnson Cornell, UCLA, NYU Sternは比較的、人気が高い。

行きたい学校のイメージづくりは、MBA受験を志した段階で既に始まっていると思う。TOEFL/GMATのスコアがまだ確定していない段階での学校選びは、受かるかどうかの目安が全く立たない時期でもある。学校の説明会が本格化する8月までには、Web, 本, 出来れば知り合いのツテで卒業生に会って、学校のイメージを掴んでおきたい。出張の機会でもあれば、1校でもVisitしておくとMBAのクラスや授業の雰囲気をつかめると思う。私の場合、西海岸の出張に合わせて、UCB HaasのInformation Sessionに潜り込んだ。

(2) 説明会(8月~)

夏からは、MBA Fairや学校別説明会が連日開催される。渋谷や五反田の予備校のホームページを週一で複数チェックして無料イベントの告知を確認する。また、各学校のWeb SiteのAdmissionに関するページに行けば、パンフレットの請求と合わせてメールを登録すると、説明会の案内が送られてくる。ただ、予備校や学生が自主的にやるものも多いので、予備校のホームページがよりupdatedだと思う。何個か見落として説明会に行きそびれたり、申し込みが遅く既に満席だったものもあった。

MBA Tour, MBA Fairは、US Top校はほとんど参加していないので注意。渋谷の予備校が主催するMBA夏祭りというイベントが一番活気もあり、Admissionは少ないがUS Top20ほぼ全校とEuropeのTop校の在校生・卒業生が勢ぞろいしていた。どこのイベントも凄い人だかりになるので、参加するのは結構しんどい。が、在校生や卒業生に直接質問できるし、若くやる気満々のアプリカントが頑張って質問するのを横で聞いていると、質問のコツやカリキュラムのポイントが分かるだけでなく、自分も頑張ろうと思えた。

学校が正式に主催する説明会も希望校は、東京で8-10月にかけて開催される。学校側は世界中を説明会で回っているわけだが、マーケティングとして強調するメッセージを打ち出してくる。エッセイを実際に読んで評価するAdmission Officeの人間が説明をするので、よく聞いておき、エッセイ出願時にはAdmissionが打ち出している方向性を引用しつつ、具体的に何を貢献できるかを強調したい。Webの情報よりアドミッションのプレゼン説明が一番最新かつ正確なので絶対行った方がよい。Admissionのポイントも必ず説明がある。

また、説明会以外に、親しい友人や自分の会社の中に、志望校のMBA卒業生がいる場合は、よく話を聞いておくべきだ。卒業生は、主観的な情報ではあるが本音で実際の良し悪しを教えてくれる。ばら色に見える学校でも、意外と満足していない点も多かったり、受験時のポイントや、表向きの情報だけでは分からないことも多い。

(3) 出願スケジュールを立てる

これまでのリサーチで希望校が見え、GMATスコアが80% rangeの下限をクリアしていれば、あとはどのタイミングで出願するかだけである。第一希望校は、ラウンド1(R1)で先手必勝で行くべきか、ラウンド2(R2)で慎重に行くべきか。多くのTop校は、正式見解として建前上は、R1, R2でどちらに出しても基準は同じだと言う。これに沿って、予備校はHBS/StanfordはR2出願を薦めている。私は、R1で第一志望から攻めた方が、合格率も高く効率的だと思う。R2が有利な理由は、場数を踏むほどエッセイの質も上がりインタビューの錬度も上がる点だけと言ってよいが、Admit Ratio(合格者/出願者)がR1>R2であり、かつ、R2内の他アプリカントとの競合では同じ経験アドバンテージを得るため、R1に対するR2のメリットとは言えない。また、学校側も優秀な学生の数を早く確保したいため、ラウンド1でやや基準を緩めにとりそのYield(進学者/合格者)を見てラウンド2で調整する。学校にとっては、合格者のレベルが下がるより合格者数が不足するのが一番困るものだ。実際、クラスを一つ増やしたかったけど、Yieldが期待より低くて失敗する学校もある。MIT Sloan regular MBAは、R1とR2で同じ数採り、アプリカントが少ないR1が有利であるとAdmissionが明言している珍しい例。さらに、アメリカ人の多くのアプリカントはR1で第一希望校を出して、R2は第2希望に出すパターンが多いので、Admissionから見るとR2は第一志望でないと思われる。R1で合格してしまえば、さっさと受験を切り上げて有意義な時間の使い方もできるし、R2で第一希望より難易度の高い学校にチャレンジするオプションも生まれる。また、R1の中でも微妙に時間差がある。特に年内に合格を出す学校(Wharton, Tuck, LBS)の結果を見て、年末年始にR2の出願校を再検討できる(IF R1合格→R2希望順位が高い学校へ、or IF 不合格→R2 安全校の割合を増やす)。 以下はケーススタディ。

Case1: US Top10のランキングと全く同じ希望順位の方

例えば以下のような出願スケジュールが立てられる。
R1: Wharton, Tuck, MIT, Stanford, UCB
R2: If W/T合格→HBSに絞る, or If W/T不合格→Chicago, Kellogg, Columbiaを追加
R1の中では、Stanford/UCBは遅めなので、Stanfordのインタビューを受ける頃には3,4回インタビューも終わり、十分に慣れている頃だと思う。HBSをR1で受けても良いが、R1の締切は比較的早めなので、1校目の出願校になるとさすがに大変か。

Case2: 1-year Mid-careerとの併願

私を含め多くの社費アプリカントは社費規定で1年あるいは18ヶ月の上限がある。Top校の大半は時間オーバである。私の場合、18ヶ月の縛りがあったが、人によって融通が利いた事例もありいざとなったら交渉するつもりで、1year のミッドキャリア向けを第一希望としつつ、2yearも出願することにした。学校選びは以下の基準を重視した。
- テクノロジマネジメントに強い学校(MIT, UCB, Stanford)
- ミッドキャリア向け(Sloan Fellows)と, 平均年齢が高い2year MBA(UCB, LBS, Chicago, Wharton)
- 18ヶ月で卒業可能(LBS, Cambridge, Oxford, Michigan GMBA)

以上から、希望順を以下とした。特に記載しない学校はR1出願。
第一志望:
- MIT SF RegularよりもMOTに強く年齢層もフィット。
第二志望群:
- LBS ヨーロッパ, 特にLondonに住みたかった。
- UCB 本格派MOTとシリコンバレーネットワーク強い。Yosemite, Napaも大好き。
- Stanford SF/Stanford SFは10monthでほぼMBAと同じ内容。Regularは年齢層が若く合格は難しいと思ったが、SF出願の予行練習と思い出願。
- MIT (Regular 2year) 本命のMIT SFの予行練習。
- Wharton (R2)
- Chicago (R2)
安全校:
- Cambridge UK, Oxford UK, Michgan GMBA
R2出願を見送った学校:
- Kellogg, CMU, INSEAD (R1合格のLBSの方が希望順位が高かったので)

社費派遣で私と同様な条件がある方が多いようで、MIT/Stanford/LBSのSloan Programと、Michigan GMBAを併願する方は多いようだ。出願スケジュール検討にあたり、MIT SFを受験された方々のブログや合格体験記が大変役に立った。というのも、MIT, Stanford SFの発表が1月下旬であるのに対して、Michigan GMBAが1月頭に授業料1/4納付の為、GMBAの合格を持ち越してMIT SFの発表を待てない。このため、MIT SFを諦めてGMBAに行くか、他校に前倒しをリクエストするかのいずれかが対応策だ。LBS Sloanは前倒しプッシュ合格可能なようだが、MIT SFは年始明けにHUB Interviewが例年あるため前倒し合格は難しい。そこで、私は第2希望群で年内に合格の出るLBS (SloanでなくRegular. 15ヶ月卒業可能)を併願して、MIT SFの発表までLBS合格を持ち越すことにした。また、R1がLBS含め全滅の感触だったら、その時点でTop10を諦めてGMBAに行くことを考えていた。LBSと同じ理由で、R1でTop10のWharton, Tuckを受けるべきだったが、両校ともLBSと比べてFitが感じられず、GMBAの方がいいかなと思っていた。
結果的には、安全校に多く出しすぎた。ただ、出願時点では合格できるか全く読めなかったので、作戦自体は良かったと思う。

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