2009年2月25日水曜日

書評: ニッポン、ほんとに格差社会?

数年前に出た一般向け経済モノだが、格差社会を統計的に検証したと紹介されていたので、買ってみた。日本の常識30個それぞれについて、正しいか正しくないか結論を出している。統計のハードデータを集めているだけでなく、コンパクトに世相を反映したニュースや論点を纏めてくれている。期待していた格差社会の検証について。2005年までの世論調査で情報が古いが、自分の所得階層を5段階で回答させると、下2段階の割合はここ10年で変わっていないことから、階層感は広がっていないように見える。同じ調査の2008年版でもしこの割合が増えるかどうか。下流意識が広がる要素として、お金持ちの姿がテレビ等で表に見やすくなってきたという点はなるほどと思った。また、所得水準については、お決まりのジニ係数の比較にとどまる。ジニ係数上のみかけの格差が広がっている点の理由について、高齢化以外に、核家族化による世帯収入の分割は初めて認識した。これ以外にハードデータはなく、結局、実質的な格差社会の定義と、その統計的な傾向については、情報がないようだった。
この本は、他にも色々な常識を検証しており、議員の数は本当に多いか、日本人の貯蓄性向は本当に高いか、について、どんなデータを元に議論すべきかが整理されている点が平易によい。

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