2009年2月11日水曜日

Essay総括

(1) スケジュール

エッセイへの着手は、予備校だと早ければ早いほど良いと言われている。私の場合、第一希望校の最終出願締切が年内だったので、ラウンド1(出願期10~11月)で出来る限り多数出願する作戦だったので、10月からは出願ラッシュだった。エッセイに着手できたのは、夏まではTOEFL, GMATのスコアメイクを優先していたため、それがほぼ終わった8月上旬だった。最初に出願したLBS 10/14出願締切のほぼ2ヶ月前に開始したことになる。多くの日本人アプリカントがエッセイ作成に、予備校のカウンセラーを活用していると聞いて羨ましくもあったが、私は独力で進めることにした。今思えばリスクが高かったが、お金がもったいなかったし、自分の内面を他人に理解させて助言を求めるやり方に馴染めそうになかった。もし、私が今より5歳若くメンタリングを必要とし、HBS/Stanfordを狙う覚悟だったら、五反田の予備校にキャッシュを投じただろう。米国のMBAホルダーに聞くと、当然のごとく、自分を内省しながら書いて、家族や同僚に見せただけという人ばかりだった。私も同様に、妻に読んで面白いと思えるか聞き、カナダ人の同僚に変な英語表現を指摘してもらった以外は、自力で一語一語練っていった。エッセイ作業を3段階に分けて、まず学校の課題確認とサンプル集を読むリサーチ段階、次にネタ出しから1校目あるいは学校共通のコア課題のドラフト段階、最後に学校別に最適化するカスタマイズ段階に分けてTipsを纏めたい。LBS出願まで、それぞれ3週間づつ順番に進めた。

(2) リサーチ (8月)

出願校選びとスケジュール検討は別途書く予定だが、一通り出願予定校のエッセイ課題を最初に確認した方が良い。駿台の以下のURLに, US Top20とEU Top Programの締切とエッセイのお題の一覧があり、便利だった。
http://www.sundai.info/counseling/mba/2009DeadlineEssays.html
最初に、出願候補の約15校分を、自分で作ったエクセルシートに学校のエッセイ課題をコピーし、課題を大まかに分類した(Short/Long Goal, Why MBA, Why this school, Leadership, Team maganament, International, Innovation, etc.)。学校と課題のマトリクスを見通すと、どこの学校もほとんど同じことを聞いており、10校出すのも3校出すのもネタ作りという意味では大差ないと思った。一つのドラフトを書き始めるまでお盆休みを入れて3週間ほどじっくりとエッセイに必要な要素や書き方をリサーチした。
良質なサンプル集を大量に読んで、こんなこともアピールポイントになるのかと気付かされた。"How to get into the Top MBA Program"本と、HBS合格者エッセイ集の本の2冊がお薦め。前者は基本書でエッセイの書き方ガイドもあるが、サンプル集が字数制限が無いのではと思えるほど延々と長かったが、随所にAdmission視点での解説があり参考になった。ボリュームのある本だが、出張中の飛行機やキャンプで手持ちぶさたの時間に読み物としてじっくり読んだ。後者(HBSエッセイ集)は400-500wordでコンサイズに話のポイントを纏めるコツをつかむのに役立った。また、日本でよく薦められている、五反田の予備校の本で日本人向けのエッセイ対策本は、Amazonでずっと売切れだったので、結局買えなかった。
とにかく、サンプルエッセイを大量にInputしたおかげで、後のOutputで自然と構成や表現が思いついた点が大きな収穫だった。

(3) ドラフト (9月)

社費やロータリ奨学金の申請時に、Why MBA?に相当するエッセイを日本語と英語で書いたが、良質な英文エッセイサンプルを読んだ後では、自分のエッセイは抽象的過ぎて個性がない点で全然ダメで使い物にならないことが分かった。LBSのエッセイのお題に合わせて、とにかく書き始めた。LBSのお題は、質問が直接的かつ説明的(一つのEssayに対して答えるべき複数のQuestionが列記されている)なので、1校目のエッセイとして大変好都合だった。
まず、Why MBA?, Why Now?, Why this school?, Short/long-term Goal?等のGoal Essayは、日頃思っているとおりに、ひねらずにストレートに書いた。Why this school?は出願校選びで別途書きたい。

Long-term Goal: 今の会社のトップに就いて、A(具体例)のような問題を解決したい。(少々誇張気味かと最初は私も心配だったが、学校から見れば社費アプリカントの自然な目標と思い言い切る。)
Short-term Goal: B(具体例)のような新事業を立ち上げてスピンオフをやりたい。大企業の中の起業家。(ハイテクとMBAの陳腐かつ最高のマリアージュ。)
Why MBA?: 自分のキャリアを棚卸しして、上記のGoalを達成する為には、スキルCやDをMBAで得たい。
Why Now?: スキルE(具体例)のような十分な職務経験があるので、MBAで学ぶ準備ができている。

おそらく他のアプリカントも同じようなことを書いてくるだろうと思われたが、Admissionが見て信じられる程度の具体性に裏打ちされた、MBAの必要性とクラス貢献への期待度を納得させることが重要で、大きな差別化は難しいと感じた。(バックグラウンドが特殊な人はこの限りでない))

次に, Leadership/Teamwork/InnovationのRecent experiencesをElaborateせよ等のNon-goal Essayである。Non-goalは話の構成はありきたりでも、内容は人それぞれのアピールポイントが展開できるので、差別化が容易だと思う。自分のアピールポイントを最初に整理してから、エピソードを選ぶ必要がある。長所のアピールは、仕事の自慢話ではなく、自分の優れた側面や行動がどのような結果を生み出し何を学んだかを、よく客観的に分析して書くことが大事だと思う。日米中のチームマネジメント経験→コミュニケーションスタイルの違いの分析、米国駐在経験→マイノリティの苦境をどう克服したか、保守的な大企業での企画経験→どう行動したらイノベーションが実現できたかの分析を、それぞれ500word程度にCAR構成に沿ってContexts(100 words), Action(200w), Results(200w)程度でドラフトした。各エピソードの最初のドラフトは、1000 words程度あったのを、冗長な表現や話の流れと関係ない部分を削ぎ落として半分に短縮した。これらのエピソードは、全出願校のエッセイとインタビューで使用した。このため、違うストーリを新たに作る労力をかける代わりに、1語1語のレベルで徹底的に磨き上げることができたと思う。また、上で紹介した"How to get into.."の本に、バックグラウンド別にTypicalな長所と短所が纏まっている。特に、典型的な短所を、エッセイの中でリスクコントロールすることを意識した。

(4) カスタマイズ (10月~11月)

学校別に質問内容が微妙に違うのに合わせて、コアとなるエッセイをカスタマイズしていった。一見すると、エッセイの再利用は難しく思えるが、実際は可能である。例えば、FailureエッセイにTeamworkネタを転用するなら、最初はTeamマネジメントに失敗したけど、次はこうやったらうまく行って、こういうことを学んだ、とか。また、ネタは転用しても、学校別に微妙に違う質問にちゃんと答えることは必要。さらに、学校が好んで使う固有名詞(Study Group or Learning Team, Stream or Cohort)へ直すのは当然として、Goal Essayの具体例を調整すると、フィット感が出ると思う。また、Why this schoolだけでなく、Non-goal essayでも学校に特徴的なカリキュラムを必ず1つは挙げる。例えば、Leadership Essayだったら、最後の纏めに、「X schoolのYカリキュラムなら今回学んだZの経験を活かせる」等。最後の1行に盛り込むだけでも、読みきった時のフィット感がぐっとアップすると思う。ただ、カスタマイズするのはあくまでも具体例だけにしたほうがよい。1校目でアントレをやりたいと書いて、Financeに強い他校で部分的に直してFinanceをやりたいと書くと、Goalやエピソードがバラバラになって崩壊するだろう。あくまで自分が本当に思える範囲で学校別に最適化する。

特に学校別に配慮したのは以下。

LBS: Student Club contributionのお題は、LBS専用に作成。
Oxford: 2000 words (Discribe a recent world event or a book you read..)は、Innovationに関する本をテーマに、自分の経験ではこうだったという流れでエピソードを複数転用。
MIT: Cover Letterが独特の形式だが、内容はほぼGoal Essayで対応。
Stanford: 有名なWhat's the most ...?は、ほぼGoal Essayで対応。
UCB: Short Questions がいっぱいあり、専用に作成。
Michigan GMBA: 普通のエッセイお題。
Cambridge: 普通のエッセイお題だが、質問の構成がやや特殊。
MIT SF: 普通のエッセイお題。ただ、ミドルマネージャ向けのカリキュラムを意識して、マネジメント目線で書くことを留意。
Stanford SF: MIT SFとほぼ同じ。
Chicago: パワーポイント4ページが独自形式。
Wharton: 普通のエッセイお題。

また、スケジュールマネジメントも重要で、エッセイの調整は時間がかかりキリがない。特に多数出願する人は、適当なところで割り切ってどんどん出願を進めるべき。Wordのフォーマット指定がないところは、12point 行間 1.5 lineで書いた。米国はLetterサイズ。英国はA4サイズでイギリス英語(Programmme, Centre, etc..)でスペルチェックも忘れずに。

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