2009年11月16日月曜日

15.970 Financial Crises (Aug 2007)

Andrew Loは、Behavioral Financeを金融工学に取り入れたPaperを幾つか出している。15.970は実践的なSpecial Seminarという位置づけで、宿題のうち2回は、Andrew LoのPaperを読み、行動ファイナンスの仮説を実際のトレーディングデータで検証するものだ。TAが宿題を新たに作っているが、Recitationとともに彼の実力でなかなかよく練られていると思う。今回は、"What Happened To The Quants In August 2007?"というPaper。2007年8月のある週に、S&P 500が小幅だったのに、Market-Neutralなヘッジファンド(HF)が巨額の損を出した理由を、同じ投資戦略を取るHFが増え一斉に資産を流動化させたという仮説で説明する。LTCM破綻の98年とは比較にならないほど、同じようなFactor-basedのポートフォリオを持つHFの規模が大きく相互に密接に関わるようになると、新しいベータの考え方が必要で、Systematic Riskが結果的に大きくなるという解説だった。金融市場を学ぶのにあたり、マクロ経済の長期的なファンダメンタルは伝統的に学校で学べるのに、存在感を増す投機マネーの短期的な動きはアカデミックで学ぶ場が少なく、この授業はMITならでは。

0 件のコメント:

コメントを投稿