2009年11月2日月曜日

15.970 Special Seminar: Financial Crises

ファイナンスエンジニアリングで著名なAndrew Lo教授が教える15.970 Special Seminar: Financial Crises。Andy Loの授業は大変人気があるが、本当に教育熱心な人なんだなと思う。初回の授業で言っていたがのが、「MBAの2年生にAdvancedなコースを教えるのは簡単。既にファイナンスが好きな学生が集まるから。でも、15.401や15.414などファイナンスを初めて学ぶ人を、ファイナンス好きにさせるのは難しいけど楽しい。」 夏にこれを聞いた時は、リップサービスかと思ったが、実際に私もAndrew Loの授業をきっかけにFinanceを現実の生きた学問と感じて面白く学べるようになった。
さて、今日のゲストスピーカは、Harvard経済学部のKenneth Rogoff教授で、最近出版された"This Time is Different: Eight Centuries of Financial Folly"の紹介を兼ねた講演だった。This time is differentは、今回の金融危機は100年に一度とか言われるように特殊性を強調して、特に政府の資本注入による救済を正当化するためによく使われた表現。この本のタイトルは、一種の反語で、This time is differentとは言うけれど、実は過去8世紀の危機のパターンと同じ普遍的なものだというのが主張。さらに、膨大なデータを元に、既に危機は脱したと言う米国の政府や経済界の論調にも反論している。例えば、1974年以来、5つのBig Crisesがあり(1992年の日本を含む)、いずれも住宅価格の回復には数年はかかっていている。日本は以来17年も成長回復に至っていないとのこと。景況判断の定義はおいておいても、実際のところ、Great Depressionの再来のような危機は脱したとの認識はみな共通で、次に継続的な成長回復基調に戻れるだろうか?というのが関心の的になっている。会場から、規制の是非や過去の反省から何を学べるかについて質問があったが、経済学者としての見解が述べられたのみで、新しい金融システムのあるべき姿については簡単には誰も答えが出せないようだ。

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