2009年8月24日月曜日

15.871 System DynamicsのTakeaway

Summer H2の4科目の一つ、Sloanの看板科目でもあるSystem Dynamicsを、Brad Morrison教授が教える。System Dynamicsでは、社会経済の複雑な事象の動的な振る舞いを、Causal loopという原因と結果を順々につなぎループで結んだ図で理解する。風が吹けば桶屋が儲かる式に、各アクションが目的変数を結果的に増やすのか減らすのかフィードバックを、定性的な見える化できる。このツールを基に経営シミュレーションを行ったり、政策の有効性を副作用含めて議論する。Academicとしては比較的新しいが、電子回路や機械系の関数解析的な制御理論を大幅に簡略化して文系でもとっつきやすくした感じ。因果関係を絵にするだけで、統計的な因子分析のような真因を定量的に求めるスタンスはない。Business Dynamicsという教科書が推奨され、授業はMorrison教授が色々な社会現象を題材にした演習中心に毎回、鮮やかにCausal loopを作っていく。同級生の感想を聞くに、Logical Thinkingの基礎的な練習ではあるが、いまいち実ビジネスへの応用が見えず、Sloan Fellowsのコア科目になっている点は疑問が残るようだ。
この授業の私自身のTakeawayも、正直なところあまり多くない。強いてあげれば、People Expressという航空会社のケースを基にした経営シミュレーションが、ゲーム感覚ながら企業のライフサイクルを俯瞰する意味で勉強になった。創業期にキャッシュ燃焼が速過ぎると株価も上がらずDebtも調達できないし、逆にキャッシュ重視が過ぎると成長が遅れて成熟期のシェア争いで生き残れないゲームバランスになっていて、なかなか練られていると思う。仕事のプロジェクト投資の稟議でも、顧客と接した現場の情報を、市場のゲームルールに洗練して整理することがポイントなのだが、大抵はこれが後知恵になるので、シミュレーションも出来ずいい加減な判断になりがち。MBAに来て以来、こんな当たり前なあるべき姿に気づかされることは少なくない。

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