2009年9月4日金曜日

Harvard Kennedy School

今週はハーバードケネディスクールの授業を見学している。MITとハーバード、ビジネススクールと行政大学院の雰囲気の違いを存分に味わい、将来に向けて非常に参考になった。好都合なことに、ケネディスクールは、スローンより一週間早く始まる。せっかくの機会なので、春学期以降に履修を検討しているクラスを含めて、数日に渡り色々なクラスに出席してみた。スローンは、ケネディスクールと単位交換(cross registration)を認めていて、教授の了承があれば正式にcreditを取ることやAuditも可能。スケジュールの相性も良く、授業の曜日が月水と火木のペアな点も共通。外から知る範囲の情報だが、先学期までは、初日の授業はShopping dayとして、シラバス含む授業説明セッションが数回ラウンドして、同じ時間帯の授業を比較できたらしい。今学期は専攻ごとの授業説明会があったようで、初日の後半はしっかり授業が始まってくれた。
まず、Sloanと同タイトルのクラスがあったOperation Managementから。扱うケースや視点がビジネススクールにないものだった。利益一辺倒でない公的性格を持つ銀行のケースでは、社会的使命を満たしながら官僚的な非効率性に対する解決策を論じる点で、興味深かった。クラスでの発言も、ポリシメーカらしくJob Creationとか年次予算の硬直性を伺わせるものがあり、アントレプレナーの発言が強いSloan Fellowsとは視点が180度違う。意外にも、夏学期のSystem Dynamicsで習ったCausal loopが板書に登場して、ちゃんとPolicy makingに活用されているんだと納得。
次に、せっかくなので、ケネディスクールらしい授業も聴講。特に、ビジネススクールでは習わないがセンスとしては不可欠な国際関係論に興味があった。米国の中東地域における戦争遂行のDecision Makingをテーマにしたクラスでは、実際にバグダッドに駐在して戦略企画を練った政府高官だった教授が教えている。恥ずかしい話だが、アフガニスタンとイラクのGDPがどれくらいで国情がどう違うか聞いて初めて知る内容ばかりだった。戦争のコストと国益を正面から議論するようで面白そうだ。インフラ事業の権益獲得の政治力学への関心を満たしてくれそう。この授業に限らず、ホワイトハウス出身の教授は多い。また、教授が2人並んで教えるものもあり、お互いに独自の視点でフォローしながら進める点も有効そうだ。例えば、科学技術のPolicy Makingをテーマにしたクラスでは、一人の教授が一般論を述べた上で、もう一人の教授が専門の原子力政策を例にコメントしていて、理論と実践のバランスがよく配慮されている。
最後に、一番期待していたRoger Porter教授の米国における政府と民間の関係を扱う看板授業。やはり人気授業のようで立ち見も多かった。米国政治の特徴として、Laissez-Faire, Adversarial, Revolving Doorが指摘される。これらのタームは、教科書やFinancial Timesの社会欄では見かけても、ビジネススクールでの会話では聞けない。春学期以降に単位を取りたい。
今更ながら、ハーバードとMITのキャンパスや建物の雰囲気もだいぶ違う。台湾の同級生の言い方でざっくりいえば、MITは東大、ハーバードは英国ケンブリッジに外観が似ている。ケネディスクールも、中庭や建物内のカフェテリアを中心に自然と人が集まる動線設計。外観だけでなく中身でも、ケネディは、スローンと同様に黒板とOHPのローテクが未だ現役でありながらも、HBSのオンライン教材をうまく活用していて川向こうは相当に進んでいる印象だった。

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