2009年5月16日土曜日

講演: John wood - 社会を変えるリーダーに必要なこと 5/16@麹町

John Woodの講演を聴いてきた。彼が創始したRoom to Readは、著名な慈善団体である。ネパールをはじめアジア・アフリカの途上国に、学校や図書館を立て本を配り、教育から貧困を解決することを目指している。Johnは、小さい頃から読書好きで、ネパールにトレッキング中に訪れた学校に本がないことに衝撃を受け、たくさんの本をヤクに載せて学校を再訪する。その活動に人生をかける意義を見つけ、Microsoftでの将来あるポジションを捨てて、Room to Readを設立した。私は、3年ほど前だろうか、"Leaving Microsoft to Change the World."(洋書)を読んで、心を動かされた。それは、自分の体験や夢と重なる部分もあったからだと思う。私もネパールのポカラの先にある山奥で訪れた村の学校の記憶はたしかに残っている。子供達はいきいきと外を駆け回っていたが、学校の建物は簡素だった。同じように訪問しても、Johnが凄いのは、すぐに行動して本を集めてまた訪れたことだ。アジアに役立つことを何かしたいという漠然とした自分の渇望を、Johnは見事に実現している。彼の父親が入会していたロータリクラブの組織が本の輸送を手伝ってくれたという逸話も、私がロータリに応募するきっかけになった。

昨年末に六本木アカデミーヒルズで講演した時は、出張中で話を聞けなかったので、今回、また日本で講演すると知ってすぐに申し込んだ。Johnは日本にちょくちょく来ているらしい。目的は、fund raisingである。昨日のイベントだけで、6500万円も寄付を集め、東京支部は設立2年間で2億円を集めている。米国のように個人の資産家がポンと何億も出す文化がない日本で、この集金力は凄いと言える。私が個人的に手伝ったNPOでは、何人もが相当に汗をかいて大企業を回って毎年百万程度であるから、比べてもその集金力は群を抜いている。まるで、富裕層向けに金融商品を売り込むがごとく、BrandとMarketing戦略を徹底しているところは、Kellogg卒業生らしい。CNN等の各種メディアで露出しつつ、驚異的なスピードでscale outしている。そのために、Johnは世界各国を回り、地域支部の集金活動を支援しているようだ。

Johnの考えるリーダシップについて、今日の講演で語ってくれた。彼の定義によると、本当のリーダシップは、お金を払わずに人を動かすことにある。お金を払って人を雇うと、雇い主の意向にただ従うだけになり、創造性が無くなる(米国人の起業家らしい発想だ)。使命感を感じさせれば、本人の意思で活動に参加させることができる。途上国教育では、このような使命感のある参加者は、比較的容易に得られるらしい。地域支部は、米国人ではなく、ローカルの人によって運営される。一種のフランチャイズか。このリーダシップの成功のポイントは3つある。まず、"Bold goal inspires bold people." これは、MS CEOのSteve Ballmerの請売りらしい。"Go bold. Or go home."も積極的な彼らしい。Steve Ballmerがオフィスに安住せず、各国の重要顧客を常に回り続けるリーダシップスタイルを、Johnも踏襲しているとのこと。次に、Winning teamにすること。勝ち続けるチーム、成功しそうな案件には、人が自然と集まる。最後に、結果を出し続けることで、恒久的なサイクルを築くこと。結果の指標は明確で、学校や本の数であり、普通のビジネス同様に、如何にそれを加速度的に増やすか、自然と皆が知恵を絞るようになる。これらの3つのKSFに加えて、彼の行動的な"Get stuff done."という性格が、ビジネス手法を企業以上に活用した慈善団体としての性格に色濃く反映されている。

ボストンにもRoom to Readの支部があるそうなので、MITに講演に呼べたらいいな。Boston Careという団体に登録中で、空いた週末などに、ちょっとボランティアできればと思う。

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