2010年1月12日火曜日

インドネシアの乗り物事情

インドネシアのGDP per capita $2000程度だが、ジャカルタ周辺部は高層ビルやショッピングモールが立ち並び、その数字から想像されるよりもずっと経済的に発展している。ジャカルタは、ちょうど10年前のバンコクくらいの状況だと思う。ただ、市内の交通渋滞は世界でも有数で、夜だと20分で着くところが、朝夕だと1時間というのはざらで、鉄道網やバスなどの公共交通機関が未整備なのが要因。大通りは3人以上乗っていないと走れないレーンを作って対策している。それを目当てに通り沿いには、ヒッチハイクのように指を一本、二本(乗る人数)と立ててfreeで相乗りをリクエストする人が並ぶ。このため、市内に流入する自動車の数の絶対数は減っていない。かといって、北京のように日にちの偶数奇数で乗車制限するほど、中央政府の力もない。むしろ自動車を購買できる世帯層が増えるにつれ、交通渋滞はますます悪化しそうだ。
こんな中、2輪車(バイク)は国民的な乗り物になっている。自動車が渋滞の中をくぐりぬけ、暑い中も大雨が降っても、お構いなしに2人乗り、さらに子供を乗せて3人乗りして、家族の乗り物になっている。2輪市場は年間600万台で、中国(1700万台), インドに続く3番目の規模。市場は、日本のメーカ(Honda, Yamaha, Suzuki)がほぼ市場を独占して互いに凌ぎを削る。100%現地生産で、製品もマーケティングも徹底的にローカライズされており、インドネシア2輪市場は日本メーカに作りこまれた市場といえる。訪問先の一つで、日系と欧州系両方のライセンス生産をしていた工場のオーナが彼自身の80年代の経験を語ってくれたのは面白かった。日系メーカは、日本人の技術者やコンサルタントが工場にやって来て、ラインの効率化を指導したり(トヨタ流のムダの徹底排除で、生産機械を手順どおりに近く並べるなど)、現地ニーズに合わせて頻繁に製品ラインアップをアップデートしていったのに対して、欧州メーカはブランドに頼るだけで製品を20年も変えずシェアを奪われていった。懐古的になるが日本人には元気の出る話を聞けた。
ジャカルタを中心に日本人が1万人も滞在しているそう。日本語のローカル新聞であるじゃかるた新聞もあり、今日のニュースでは、日本の経産大臣と経団連がインドネシアを訪れていて、大臣が「インドネシアの内需は日本の内需だと思って取り組む」と発言していたのには、はっとさせられた。産業インフラ事業への投資が、自動車や家電への投資を呼び、今後も日本企業の進出が加速しそうだ。

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