2009年4月17日金曜日

模擬授業(Marketing Introduction, Prof. Duncun Simester)

オリエン期間中に、模擬授業が2つ行われた。オリエンの丸一週間のうち、アカデミックセッションは半日の授業2コマだけだった。個人的には、もっとFacultyメンバの講演が開催されることを期待していたのだが。在校生のガイダンスも抽象的なお話が多く、もう少し突っ込んでどんな教授陣がいて、各人の授業での個人的な経験をもっと聞きたかったが、夜のソーシャルイベントでは聞きにくい雰囲気だった。

さて、1コマ目はマーケティングのクラス。教授は夏のコアコースを教えるProf. Duncan Simester。MBA授業の代名詞「ケーススタディ」の雰囲気を知る位置づけ。オリエン初日に比較的短く読めるケース(赤目の鶏)の宿題が出て、これを既に読んでいることを前提に、授業内で実際にディスカッションした。このシンプルなケースは、鶏用コンタクトレンズの事業化是非を論じたもの。アメリカ人のパートナでLFM'90の方から、「誰も赤目の鶏なんて知らないので、皆にフェアなんだよね」とのとおり、特定のバックグラウンドに発言者が偏らず、みんな気軽に楽しんで発言しているようだった。

よく言われるように、ケーススタディは、ノンネイティブで議論下手な日本人には特に難しいスタイルだろう。実際、私も初めて参加してみて、議論のテンポが速く、発言を考えていると、すぐ次の議論に移り何度も機会を失った。先生が何を言っているか分かっても、他の生徒の発言の論理が理解できないことが多く、繋げて議論を展開するような発言が出来ない。6月からSurviveできるか不安になった。思うに、発言のタイプが簡単な順に、(1) ケース内の答えそのまま(Fact), (2) 教授の最初の問いかけに続いて予め考えていた自分の意見 (prepared IMO)、(3) 他の生徒の発言をベースに議論を展開する意見 (discussion)がある。1と2までが、英語、論理、経験全ての面で自分の今の限界。2も自分の経験だけでは中身が薄く、スタディグループで事前に議論して、理解を深めてから授業に臨む意義を実感。

そして、授業の後半になるにつれ、ケース後のアクションの決断やWhy?が問われる。今回のケースからの学びも、この会社を売るべきか?という最後の問いへの教授の考察に集中していた。一般に商品化前のアイデア時点で会社を売るのは難しい理由は2つあり、成長予測が恣意的である点が一つ。もう一つは情報の非対称性で、アーリーステージほど売り手の創業者側に重要情報が偏在している。この例外として、バイオベンチャーが赤字のまま会社が売れるのは、創薬ステージ別にきちんとドキュメント化されTangibleな資産になっているからだそうだ。

ディスカッションの後、同級生それぞれの個性や考え方が分かる気がして、ずっと話しかけやすくなった。逆に、私の発言のジョークは受けたわねと、話しかけてくれることもあった。それまでの夜のソーシャルイベントでは、同級生と当たり障りのない大人の会話で、お互いに遠慮も感じてしまっていた。カリキュラムが始まり一緒に議論を重ねる中で、自然に同級生とも仲良くなれそうと気がだいぶ楽になった。考えてみれば、会社でもそういうものだ。

最後に先生の余談。ケースはハーバード大学が出版するものが多く使われ、学生がそれぞれWebで
$3程度で購入する。全世界で長年使われるため、その収入は結構な額になるそうだ。ハーバードの教授は良質なケースをいかに多数書くかが評価のクライテリアらしい。一方、MITの教授はリサーチ中心であり、Duncun先生もノルマはケース一本だけらしい。その代わり、調査論文やPhD学生の指導に重点が置かれている。私のリサーチ志向にマッチしていて、やっぱりSloanを選んで良かったとここで実感した。

0 件のコメント:

コメントを投稿