2009年7月23日木曜日

15.414 Financial Management

Financeの基礎を、Andrew Lo教授が教える。Andrew Lo教授といえば、Finance Engineeringのスーパースターであり、第一人者からFinanceの基礎を学べるのは、Sloan Fellowsの特典の一つでもある。有名教授でも教え方がうまいとは限らないが、教授の授業はコンセプトにフォーカスしながらも、背景となる統計や数式の考え方をしっかり解説している。教授いわく、Sloan FellowsのクラスはRegular MBAと比較して、質問が多いのが特徴で、教える側も一緒に学べるから好きだ、とリップサービスも忘れず、Fellowsでの人気も高い。このクラスは、債権の金利構造に始まり株式から派生証券の価格付け、ポートフォリオ理論までFinanceの基礎をカバーする。時折、教授自身が作ったヘッジファンドでの運用について、さらりと触れるあたり、奥ゆかしさもある。宿題のワークロードも、Summer H2コア科目の中では比較的高い。
今日は、トレーディングルームで、株式取引シミュレーションゲームを行う。後半のMarket Efficiencyの講義に対する伏線とも言えるシナリオで、市場にリークされたプライベート情報が株価にどれくらい速く織り込まれるかを実験するものだった。実際に参加してみると、自身の情報と市場の値動きから理論株価が定まるはずなのは分かっても、値動きが合理的でなく理論株価に収束しなかったため、安く買い高く売るを繰り返して値鞘を稼いだチームが一番、儲かっていた。この結果が、市場参加者が極端に稚拙だったためか、Efficient Market Hypotheis (EMH, 効率的市場仮説)が本当に間違っているためかはさておき、Financeバックグラウンドのない人には、市場取引の雰囲気を味わいながら、市場の効率性について考えるいいきっかけになったと思う。当日にメディア(WSJ?)の取材が来ていた他にも、つい先日のFinancial TimesのMarket欄では、Andrew Lo教授のコラムで、教授自身が提唱するAdaptive Market Hypothesis (AMH, 適応的市場仮説)が紹介されていた。AMHに従った市場像は、特定の取引パターンを持つグループの環境適応、自然淘汰の繰り返しになるとされ、金融危機のアノーマリの昨今にあって、学説自体も時流を得ているように見える。EMHに対して星の数ほどある投資手法の有効性を実証する論文には、絶えずデータマイニングを疑う反証が付きまとう一方で、AMHは仮説自体が定量的でなく反証が難しいのがアクティブ運用関係者にウケるポイントか。

0 件のコメント:

コメントを投稿