2010年5月24日月曜日

Brazil (1日目)

Brazil企業訪問の1社目は、航空機メーカのエンブラエル(Embraer)。カナダのボンバルディア(Bombardier)とのWTO紛争パネルのケースを、コア授業のGlobal Econで扱ったこともあり、Fellowsの関心も高かった。経営幹部が数人そろって同社の経営状況、特に金融危機後の大幅な受注減にあわせた従業員削減の後、中型機で受注残が回復している点などを説明していた。Q&Aの応対を見る限り、国策企業らしい鷹揚な経営スタイルに感じた。韓国や中国の国産計画には興味を持っているようだったが、日本については特にコメントがなかった。ライン見学の最中に、何人かのFellowsから、なぜ日本は技術力があるのに航空機事業は成功できないのか、私に聞かれたが答えが出なかった。エンジンなど主要部品を海外メーカに握られ、すり合わせ型アーキテクチャでコモディティ化を計る、日本メーカの勝ちパターンが通用せず、ニーズにあわせた商品企画と販売力で勝負するしかない。かつてのYS11に続く、最近の経産省が助成する国産化事業も海外では認知度が高くないのは残念だが、真にグローバルな競争力をつけて生き残っていってほしい。
午後は、高原の避暑地に移動して、Ricardo Semler氏の広大な自宅を訪れる。ブラジルは資産家ファミリー企業を出身企業としてコモディティで成功するパターンが多いが、同氏もSemcoの元CEOでBiofuelで巨額の富を築いた。マネジメント関係の講演や著書で知られるカリスマ経営者でもあり、講演の内容も人生論に係る部分はかなり宗教的なアプローチで独特なものだった。人を基本にする経営スタイルだが、例えば採用プロセスは直感に頼るものとされており、Fellowsの中でも起業家を目指す人には評価が高かった一方で、大企業出身者にはやや非現実的な印象を持たれた。氏のご自宅は、見晴らしと風通しのよい高原の自然を活かした設計で、リビングの内装もベーシックカラーでシックに纏まっており、ドイツかスイス風の趣味の良さを感じさせた。

0 件のコメント:

コメントを投稿