2010年5月18日火曜日

South Africa (1日目)

最初の講演は、同国の経済政策を取り仕切った前大臣の予定だったが、大統領府に呼ばれたとかで講演者都合でキャンセルされた。南アフリカの日程は、出発直前まで明らかにされず混乱ぶりが伺われたが、到着後も講演者のキャンセル・変更や時間変更が多く、当日までバタバタしていた。大物の講演者を集めているためと、お国事情もあり仕方がない。ヨハネスブルク方面に戻って、政治都市Pretoriaからの車窓ツアー。この都市には、裁判所や主要な役所があり、周辺には古い高層アパートも並ぶも、白人が出て行ってしまった結果、ゴーストタウンに近い建物も少なくなく、やや緊張させられる。同市中央の広場も、アパルトヘイト中は白人の憩いの場だったそうだが、今はほとんどがが黒人ばかりである。ちなみに、Politically correctが徹底されるアメリカと違い、White, Blackと直接的に呼称することが慣例になっており、日本語でも同様に記載することにした。
次のスピーカは、SA Reserve Bank(中央銀行)総裁のGill Marcus女史。私のチームがホスト役だったが、対面して挨拶すると感じの良い方でありながら、講演とQ&Aセッションでは威風堂々としており、同国のマクロ的な経済事情を彼女のスタッフ達も交えながら、明快に解説してくれた。金融危機の影響も小さく、近年は通貨ランドも為替レートも比較的安定しており、一見、経済運営が好調のようだが、総量的なマクロ指標では見えにくい、質的な問題が山積している。まず、途上国と先進国の間の中発展国でありながら、経済格差が極端に大きい。端的に言えば、ごく一部の白人資産家と、大多数の黒人に分断されている。また、ジンバブエやモザンビークなど政情不安定な周辺国から大量の不法移民が流入し、人口の実態は統計値と大きくかけ離れている。さらに、年齢構成も10-30台が多く若いため、教育の改善が追いついていない。これが高い失業率に治安の悪さ、高いHIV率と負のループに陥り、国民の幸福度は、インド人の同級生をして、インドよりも悪いんじゃないかと言わしめるほどである。

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