2009年3月28日土曜日

異業種交流会(3/28@西新宿)

土曜の午後から、官庁の若手が主催する異業種交流会に参加した。この会には初めて参加したが色々と気づきがあったので書いておきたい。参加者は、100名以上で、官庁、戦コン、金融、サービス、製造、起業家、教育、学生から様々で、30歳前後の若手を主軸に20~60代まで幅広かった。MBA合格者やAlumniの会ともまた一味違うところが面白いところ。MBA組がビジネスや企業の話題が多い一方で、この会は公共政策的な視点が強い。官庁メンバが主催する割りには、中身は相当リベラルで市民団体的な感覚だった。
2時間のグループワークがあり、経済のお題について、10名ほどでディスカッションする。どんなメンバと一緒になるか楽しみにしていたが、戦コン、官庁/政府系研究機関、起業家、NPO、メーカまでバランス良く、Stanford/MIT Sloan/Harvard Kennedy出身者もいて、期待以上だった。2時間の議論の流れはこんな感じ。前フリとして、ファシリテータが、製造業の国際競争力の視点で、設備投資は伸びても賃金は伸びない、Why?→コモディティ製品は製造設備を海外にマネされて差別化できず利益が出ない、So what?→iPodのようなイノベーション型製品が日本にも必要、という流れを提示した。分かりやすいテーマでこれをベースに議論が進むかと思いきや、参加者の一人から、製造業だけ議論してもダメだという話で全部ひっくり返して、新自由資本主義的な論調を強力に主張し始めた。右肩上がりの経済では、日本型経営(特に均質な国民性、終身雇用、生え抜き経営者)が優位だったが、成長鈍化したここ20年では、米国型経営(外国人・中途採用の多様性、ゴーンさんのおうな経営のプロ)が望ましいという話になった。それに対するアンチテーゼがNPOの方から議論された後、日本型経営を文化・ソフトパワーとして、発展途上国に輸出して、世界のルールメーカになろうという結論になった。後から思うと、EUの拡大(西欧から東欧へ)に近いアプローチかな。議論の流れが興味深かった。普通、ある思想Aが提示され、それに対するアンチテーゼ(no A)が出て、時間に終われてメンバのバランスを配慮した中庸な総括で終わるのが多い。このメンバが安易な結論を避けることが出来たのは、戦コンの方が最後まで粘り強く議論の質を上げたことだ。A or no Aの横軸に、縦軸(B or no B)を追加して見ると、取るべきポジショニングがクリアになった。
こんなハイレベルなメンバで貢献する方法として、一つ気づきがあったのは、自分の立ち位置を明確にして発言することだ。会社の中では当たり前でわざわざ発言する意味がないことでも、他業種のメンバの中での発言なら感謝される。例えば、製造業の出身者だったら、終身雇用が長期視点のR&Dを可能にしたこと、均質な国民性が大量生産と高品質化に向いていること等の発言でも良いだろう。これは簡単なようで難しく、自分や自分の会社のことほど、意外に客観視して言えないものなのだが。また、別な気づきとして、バックグラウンドによって、理想とする社会像が全然異なることだ。官庁の方が、地域循環社会(偏在化)が必要と発言されたが、サービス業の方が画一化された市場の存在のメリットを指摘された。NPOの方が雇用を安定化させ安心安全な社会の必要性を説かれた。技術系の方が、環境や高齢化の日本の特性を活かした技術革新の必要性を訴えたが、多数派を占める文系の方はあまりピンと来ていないようだった。こういった理想像の違いを認識して、自分の立ち位置を明確にすべきだと思った。また、ここまでメンバが多様な交流会だと、大所帯の政党と同じで一つの政策提言に纏めることが難しくアウトプットにはなりにくい。若手中心でプロセスや人の交流を楽しむことが目的の重きを置いている。夕方からの懇親会は、交流がメインで、色々な方とお話できる機会があり楽しかった。

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