2009年3月1日日曜日

書評: いま起こりつつある"かすかな兆候"を見逃すな!

HBRに寄稿されたMemo to the CEOの和訳本。競争優位を築く為には、5つの新しい戦略的視座が必要という趣旨。さて、5つの戦略のうち、最初の一つは、サプライチェーンの話。中国からの海運物流が数年のうちに容量オーバするので、先に手を打て、という指摘である。アパレルや消費財を念頭に、物流の隠れたコストという定義で、輸送時間が長いと一時的な在庫不足による商機ロストが大きくなるとのこと。港湾能力不足は隠れた関税障壁でもあるとの指摘だが、輸入だけでなく逆に輸出も制約されるので、業種間の利害も生じるかもしれないが、日本ではそんな話は聞いたことはない。戦略の2つ目は規模の経済性の対極となるDisposable Factoryという生産方法だが、これは消費財に限った話と考えて良さそうである。この他にダイナミックプライシング、複雑性、無限の帯域幅の3つが上げられている。
一つ一つも興味深いケースとコンセプトが紹介されているが、一番学びがあったのは、変化の兆候を軽視しないことだ。兆しをタイミング良く捉えるためには、本書が書いてあるように、頭の中なり何らかの方法で、市場が変化しつつあると思える事柄をファイリングしておくべきという点は、特に参考になった。年とともに頭の中が常識で硬くなってくると、どうしても、ニュースや人から聞いた話で、どこかで聞いたことのある話だなと思うと、フィルタが掛かって頭に残らなくなる。ユビキタスとか言い古された言葉でも、どこかのタイミングでブレークする変化を、自分なりに時間軸をつけて整理しておくと、新事業の検討に有用であろう。

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